◆テニス 全豪オープン第1日(12日・メルボルン)
【メルボルン12日=吉松忠弘】4年ぶりの出場となった元世界ランキング4位、現74位の錦織圭(ユニクロ)が、2本のマッチポイントを跳ね返し、2セットダウンの崖っぷちから大逆転で6年ぶりの勝利を飾った。同106位で予選勝者のチアゴ・モンテイロ(ブラジル)に、4-6、6-7、7-5、6-2、6-3で勝利した。
錦織がテニス人生最大の大逆転で、錦織劇場の開幕だ。2セットダウンで、第3セットでは4-5で2本のマッチポイントを握られた。ストレート負けを覚悟した流れを、驚異の気迫と粘りで5セットの逆転劇に結びつけた。勝利の瞬間、錦織は両手を天に突き上げ、「本当に大変な試合だった。ほとんど大会は終わったようなものだった。ほとんどあきらめかけていた。でも、とにかく冷静に、1本1本、返そうと心がけた。体? 大丈夫だよ」と話した。
全豪の5セットは、これまで8戦してわずか1敗だけ。敗れたのは、元世界王者のフェデラーに対する1敗だけだ。4大大会で2セットダウンから逆転したのは過去4度。そのうちの3度が全豪と、錦織の全豪の5セットは無類の強さだった。
自分のサービスゲームを1ポイントも落とさない最高の滑り出しを見せた。しかし、第5ゲームでダブルフォルトがからみ、自分のサービスゲームを落としてから、フォアハンドがおかしくなった。
相手が、もっとミスをすると予想していたはずだ。相手を左右に振るが、逆にカウンターで返され、逆襲された。また、以前より相手の第1サーブの威力が増しており、チャンスは、ことごとくサーブではねのけられた。香港で話した「フォアが突然に打てなくなる」症状が見られ、ことごとくフォアがミスした。
しかし、第3セットに2本のマッチポイントを跳ね返し、5オールに追いついた第11ゲーム。この試合、訪れた12本目のブレイクポイントだった。ようやく初めてものにすると、錦織はラケットを投げ上げ、喜びを表し、第3セットを奪った。
そのラケット投げ上げが反撃ののろしだった。相手がけがの治療時間を取るなど、リズムが悪くなった。サーブが入る確率も落ち、錦織は、そのすきを見逃さなかった。一気に6-2で第4セットを奪い、ついに2セットオールのタイに追いついた。
▼錦織に聞く
―0―2、マッチポイント2本を取られてからの逆転勝ち
とてもタフだった。2本マッチポイントを握られた時も、冷静に、やるべきことに集中した。そうしたらプレーが良くなっていいテニスができるようになった。
―心境は
ほぼ諦めかけていた。彼は第1、2セットととてもいいプレーをしていて勝利に値するプレーだった。それでもいいプレーをしよう、ファイトしようとした。
―ファンの皆さんへ
素晴らしい。ファンのみなさんに感謝したい。
―体調は?
とってもいいよ(笑い)
―勝利の実感は
最後の最後までもつれつつのゲームだったので、あんまり実感はない。
―内容は
相手が良かったので、自分がめちゃくちゃ悪いわけではなかったから、(負ける)覚悟はしましたね。今日は彼が良かったかな、と思える瞬間もあった。諦めてるとこもありましたけど。最後まで、途中、1本1本、マッチポイント(を握られた)のゲームもキープできたことは大きかったですね。彼のサーブが最初は良くて、少しずつ落ちてきて、セカンドサーブを攻められるようになってプレッシャーをかけられるようになった。
―相性の大会
めちゃくちゃ楽しかったですね。楽しいとか言ってられないですけど、お客さんの声援が押してくれたところもあったので。けっこうもうろうとしてましたし、特に最終セットに入って少ししてから、気持ちが落ちてきて、エネルギーがわいてこなかったので。満員のファンのおかげ。
―次戦へ
確実にちょっと休みたい。リカバリーが先決。かなり疲れも出ている。しっかり休みたい。