◆テニス ▽全豪オープン 第1日(12日、オーストラリア・メルボルン)
【メルボルン12日=吉松忠弘】男子で4年ぶりに出場した元世界ランキング4位、現76位の錦織圭(35)=ユニクロ=が4時間超の激闘を制し、6年ぶりの全豪勝利を飾った。同105位で予選勝者のチアゴ・モンテイロ(ブラジル)に4―6、6―7、7―5、6―2、6―3で逆転勝ち。2セットダウンから、第3セットに2本のマッチポイントを握られる絶体絶命のピンチをはね返した。
コートは興奮のるつぼと化した。声援だけでなく、悲鳴や怒号が入り交じり、観客が錦織のミラクル劇場に酔いしれた。「本当にタフな試合だった。とにかく落ち着いて、1ポイントずつと考えた。まあ、いい気分だよ(笑)」。1ポイントを失ったら負けという崖っ縁が2度。錦織は、不死鳥のようによみがえった。
4時間6分をかけて勝った瞬間、35歳は両手を握りしめ、表情を崩して天を見上げた。「完全に負けたと思っていた。ほぼ(第3セットの)最後は諦めていた」。左利きのパワーヒッターに押され続けた第1、2セットがウソのように、最後は得意のフォアがよみがえった。
4大大会の5セット試合はこれで29勝8敗。勝率7割8分4厘は歴代7位タイ。現役ではジョコビッチ(セルビア)と並んで最高勝率を誇る“5セット・キング”だが、「できれば3セットで勝ちたい」と錦織は苦笑いした。全豪での5セット試合は過去8戦でフェデラーに敗れた1敗だけ。2セットダウンからの逆転勝ちも、過去4回のうち3回が全豪で、全豪では5セット試合に無類の強さを誇る。
2回戦は、同11位で第12シードのトミー・ポール(27)=米国=と同70位のクリストファー・オコネル(30)=オーストラリア=の勝者と対戦する。
大会から去る覚悟だった
◆圭に聞く
―2本のマッチポイントを握られた。
「大会から去る覚悟だった。相手に押され続けていたので諦めていた」
―なぜ挽回できたか。
「相手のサーブの確率が落ちた。第4セットぐらいから、やっとリターンのタイミングが合ってきた」
―相手のサーブにやられた。
「彼が良かったのはサーブに尽きる。ビッグサーバーだと思ってなかったので余計、イライラがたまった」
―なぜ5セット試合に強いのか。
「あんまり考えたことがない。最後までタフにいようとしているだけ。でも、皆がストレートで勝つところ、なぜか5セットにいってしまう。良くない傾向だ」