受験シーズン本番。担当するアマ野球界の選手には、激しい競争を勝ち抜いた男たちがいる。東大野球部だ。元ロッテ投手の父を持ち、昨秋の法大2回戦で2失点完投勝利を挙げるなど躍進著しいサブマリンのエース・渡辺向輝(3年=海城)に、合格への必勝法を聞いた。
〈1〉移動時間は解説を読む 電車での移動中は英単語などの暗記に取り組む人が多いが、数学の問題集の解説を読むことに費やした。
「問題を解いてから解説を読むのが普通だと思うんですが、自分は時間がないと感じていて、読書感覚で最初に解説を読んでいました。受験勉強は、解き方も含めて“覚えたもん勝ち”なので、一番効率的なやり方ができたと思います」
〈2〉試験時間は半分で訓練 例えば共通テストの国語は90分だが、45分で解いてみる。問題の難易度を瞬時に見極め、平易な問題から取り組む習慣をつけるのだ。
「本番は緊張でてこずったり、問題が急に難しくなったりとイレギュラーなこともあります。時間を半分にして、常に全力で急いだ状態でどれだけ点数が取れるか―という練習をしておけば、時間をかけないと解けない問題は自然と後回しするようになります」
〈3〉記述はミスを減らすことに重点 英作文などではついつい「こんな表現も知っていますよ」と背伸びした解答をしてしまいがち。だが「加点される」よりも「減点されない」を意識した答案を作成する。
「難しい表現で点数を稼ごうとするより、基本重視で簡単な表現でもいいので、ミスをなくすことを意識した方が合格の近道です」
課題を明確にした上で、克服への努力を継続できる―。渡辺の話を聞きながら、急成長の要因が分かった。今年、狙うは東大8年ぶりの勝ち点。“難関突破”へ、しなやかに右腕を振る。(アマ野球担当・加藤 弘士)
◆加藤 弘士(かとう・ひろし) 1997年入社。編集委員。6歳からプロレス観戦に没頭。生観戦ベストマッチは95年平壌の猪木・フレアー戦。