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デビュー2連勝の中七海女流三段、加藤桃子女流四段に快勝も1分将棋で「ちょっと時間を使い過ぎました」

スポーツ報知 2025年1月14日 18時7分

 将棋の奨励会三段リーグ経験者で昨年11月に女流棋士に転向した中七海(なか・ななみ)女流三段が14日、大阪府高槻市の関西将棋会館で指された第52期女流名人戦(報知新聞社主催)の予選第2ブロック2回戦で、加藤桃子女流四段を先手番の111手で破り、昨年12月のデビューから2連勝とした。

 戦型がマルチタイプの中は振り駒で先手に。居飛車党の加藤に対し「きょうは居飛車でやろうと思っていました。加藤さんは横歩取り、雁木、2手目△8四歩など何でももある。戦型を予想していたわけではないですが、(対局の戦型の)雁木はあるかな?と思いました」説明した。

 序盤はじっくりした戦いで、6、7筋で桂を生かした攻めも見せたが「自信はなかったです。悪くなる順もある。仕方ないかなと思いました」という中だが、大きな崩れはなし。59手目の▲4四歩で時間を使い、のちに早々と持ち時間(2時間)を使い切り、秒読みに入ったが「ちょっと時間を使い過ぎました。ペース配分がちょっと…」と奨励会三段リーグ(90分)とは違うタイムマネジメントを課題に挙げた。

 しかし、最善手を連発して「進んでみたら良くなった」といい、「▲4五香(99手目)で勝ちかなと思いました。もしかしたら詰みもあるのかなと思いましたが、分からなかったので、安全策で」と、加藤の竜を逃がす▲5九金(101手目)と打つなど最終盤も冷静だった。

 加藤は女流歴代6位のタイトル9期を誇る強豪。女流名人戦では21年(20年度)の五番勝負で里見香奈女流名人(現・福間香奈)に挑戦した実績の持ち主で、初出場からこれまで5期連続でリーグ戦入りしていたが、これを阻んだ。それでも中は「自信のない将棋だったので、勝てたのは運が良かったという感じですね」と控えめに話した。

 中は今月30日の3回戦(準々決勝)で室田伊緒女流三段と対戦する。第2ブロックをこのあと3連勝で抜ければ10人の総当たりリーグ戦に入り、女流名人への挑戦権を争うことになるが、そこに向けて大きな一歩となった。

 本局は今年初対局だったが、願掛けの初詣は「行ってないんです」と笑いながら「変わらず目の前の一局を頑張りたい」。将棋ファン注目の“勝負めし”はデビュー戦と同じく注文せず。実は2局ともゼリー飲料でのエネルギーチャージ。「そんなにおなかがすかないんです」と明かした。

 24日には女流王将戦予選トーナメントの第12ブロックに臨む。持ち時間各25分(チェスクロック方式、切れたら40秒)の早指しで、1日で3連勝すれば、西山朋佳女流王将=白玲、女王=への挑戦権をかけた本戦トーナメント入りを果たす。「(早指しは)やったことないので…やってみないと分からないです。長考派なのかな」と自己分析。「寒いのはちょっと苦手」という中だが、真冬の熱い戦いが続く。(筒井 政也)

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