オリックス・森友哉捕手(29)が14日、25年の目標に「正捕手奪回」を掲げた。沖縄・宮古島市の伊良部島で、チームメートの頓宮裕真捕手(28)らと自主トレを公開。昨季は捕手での先発出場がチーム2位の47試合にとどまっただけに「けがなく1軍に居続ける。100試合スタメンで(マスクを)かぶれたら」と、30歳を迎えるシーズンへの決意を語った。
潮風なびく琉球の島に、悲鳴に近い森の叫び声がこだました。トレーナーの合図と同時に、股割り姿勢のキープがスタート。「うわーっ! やばい、これ!」。必死に歯を食いしばり、低い体勢を保ち続けた。地獄のようなトレーニング。「捕手へのこだわり」だけが、自らを突き動かした。
ここまでプロ通算11年で129本塁打を放つなど、球界屈指の“打てる捕手”。しかし、捕手として100試合以上に先発したのは、意外にも西武時代の19年(126試合)と21年(118試合)の2度だけだ。昨季は、若月がチーム最多の87試合で先発マスク。一方、自身は同47試合にとどまり、指名打者で50試合、右翼で13試合に先発した。「若月と切磋琢磨(せっさたくま)できてるのは、すごくいいこと」。その一方で「やっぱり年々、(捕手としての)出場数が減っている」と、危機感も口にした。
「ワカ(若月)も僕のことをライバルと思ってくれているし、僕もワカのことをライバルだと思っている。負けないように。100試合スタメンで(マスクを)かぶれたらいいかなって思います」。同学年の戦友から定位置を奪い返すため、自主トレでは「原点回帰」をテーマに設定。「今年は、若い時と同じくらいやっている」。覚悟を持って、伊良部島で“野球漬け”の日々を過ごしている。
午前中に股割りやジャンプスクワット系の練習で下半身をいじめ抜くと、ランチ明けの午後は体幹トレーニングで練習を再開。昨年は右太ももや左肩を痛め2度の離脱を味わっただけに「下半身と体幹、背中を鍛えながら、ほぐしながら」と、けが予防への効果も期待できるメニューを徹底的に消化した。「イメージ通りに体が動いている。100点です」と、捕手として戦う土台づくりは順調だ。
24年は117試合で打率2割8分1厘、9本塁打、45打点。25年は「打撃に関しては、キャリアハイ」と、19年の打率3割2分9厘、23本塁打、105打点超えも目標に掲げる。「自分は正直、4番タイプではないので…。本来であれば、トンとかに打ってもらいたい」と、ともに汗を流す頓宮の奮起にも期待。「チーム全体で刺激し合いながらできれば」と、V奪回を見据えた。(南部 俊太)