17日からの金曜ロードショー(後9時)は、「ハリー・ポッター」シリーズを3週連続で放送。初回はシリーズ第6弾「ハリー・ポッターと謎のプリンス」(2009年)が、枠を30分拡大して放送される。同シリーズの金ローでの放送は昨年1月以来。当時は1作目から3作目の「―アズカバンの囚人」が放送された。21年11~12月には4、5作目が放送されており、今月24、31日の「―死の秘宝」のPART1、2も含め、順番通りではないものの3年ちょっとで”完結”する形となる。
闇の魔法使い・ヴォルデモートが復活したことで不穏な空気に満ちる魔法界。ホグワーツ魔法魔術学校のダンブルドア校長は、学生時代のトム・リドル(後のヴォルデモート)を教えたことがあるホラス・スラグホーンを魔法薬学の先生として学校に呼び戻した。
一方、学校で6年目を迎えたハリーは、ダンブルドアからホラスに近付き、彼が隠している秘密を探るよう密命を受ける。ハリーはホラスの授業を受けることになったが、その際に「半純血のプリンス」との署名がある教科書を手に入れる。中には見たことのない魔法が書かれていた。そんな中、ダンブルドアとハリーはヴォルデモートの弱点を見付けるが…。
とストーリーを紹介してみたものの、本作はそれよりも「恋」の要素が強い、シリーズの中では異例の作品といえるだろう。第4作「―炎のゴブレット」(05年)でもハリーの初恋が描かれたことがあったが、今回はそこから成長したこともあってか、ハリーはより思春期らしい悩みを抱えることになる。
さらに友人のロン、ハーマイオニーに至っては、いかにも中高のクラスの中にありそうな「AはBが好きだけど、BはCが好き」のような複雑な関係が発覚。その中で、ハーマイオニーの”純愛”ぶりがほほ笑ましい。ホラスの授業で「ほれ薬」についてハーマイオニーが解説するシーンでの「薬のにおいは、人によって感じ方が違う。私の場合はスペアミントの歯磨き粉」のセリフ、大好きです(理由は序盤からしっかり見ていれば分かると思います)。
ということで本作は、シリーズ全体を見渡すと個人的には”箸休め”の作品になっているのではないかと考えている。後半では続編「―死の秘宝」に続く、ヴォルデモートを倒すための「キーアイテム」の存在が明らかになるので、そこだけキッチリ押さえておけば、後は甘酸っぱい青春物語として楽しむのが正解ではないだろうか。(高柳 哲人)