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世界の王も脱帽「人間業ではない」イチローの技術「ボールとバットの芯を『結ぶ』天才」

スポーツ報知 2025年1月17日 5時10分

 イチロー氏と共に日の丸を背負ってWBCを戦い、世界一に輝いた王貞治氏(84)が殿堂入りを祝福した。2006年の第1回大会で日本代表を率いた王氏はゲストスピーカーとして通知式に出席し、卓越した技術を「人間業ではない」と絶賛した。

 世界のホームラン王から世界の安打製造機への賛辞が並んだ。王氏は監督として06年の第1回WBCで共闘したイチロー氏の殿堂入りを祝うために通知式に出席。「待ちに待ったイチロー君の殿堂入り。規則なんでしょうけど、あえて言うと(現役引退から)5年も待たなくて良かったんではないかと(笑)」。自身も資格1年目の1994年に殿堂入りを果たしたが、“まな弟子”の晴れ姿がうれしかった。

 世界記録の通算868本塁打を誇る王氏から見ても、イチロー氏の技術は群を抜いていた。「ボールとバットの芯を『結ぶ』天才だと。人間業ではないと思いました。芯と芯が当たらない限り、いい打球は出ないわけですから。どういう体勢に崩されても『結ぶ』のが他の打者と違うわけですよね」。ダイエー(現ソフトバンク)の監督に就任した95年以降はオリックスの天才打者にしてやられ、「何度も何度も痛い目に遭いました。特に走者を得点圏に置いた時に嫌な打者でしたよね。相手から嫌がられたのは今の歴史の中で彼が一番じゃないかな」と舌を巻いた。

 日本代表の監督として出場した06年のWBCでは敵から味方へ。全幅の信頼を置き、初代王者の歓喜を分かち合った。「彼がいたから、第1回大会も勝てたし、2回目、3回目、4回目にもつながっていくわけだよね。野球界の中で本当に特別な存在」。日本の未来を考え、引退後に野球振興に取り組むのも共通点。2人だけの絆がある。

 今ではドジャース・大谷ら多くの日本人選手がMLBで活躍しているが、王氏は「米国というなかなか海外の人を認めない国が、(01年に渡米)1年目のイチロー君に最優秀選手賞を与えた。日本の野球というのはすごいんだというイメージを米国の選手に与えてくれた。今の日米の野球のレベルがだいぶ近づいたのはイチロー君の功績が大だと思います」。背番号51が残したものは単なる成績だけではないということだ。

 イチロージャパンの誕生も期待されるが、王氏は慎重だった。「そういうところに縛られないでね。やるのかどうか、これは彼が決めることだから。自分で本気になって取り組めると思うものを見つけてくれればいい」。幸せを願い、優しく笑った。(中村 晃大)

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