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【新春浅草歌舞伎で奮闘する7人の若武者たち】第4回=中村玉太郎】

スポーツ報知 2025年1月17日 10時0分

 祖父は人間国宝の中村東蔵(86)、父は品ある立役(男役)が似合う中村松江(59)。その長男、中村玉太郎(24)は爽やかな顔立ちをした注目株だ。

 今月は1部の「絵本太功記」でヒロインの初菊、「道行旅路の花聟(はなむこ)」ではコミカルな鷺坂伴内、「春調娘七種」の曽我十郎と昼夜で全く異なる3つの大役に挑んでいる。芸域を一気に広げる機会になりそうだ。

 「楽屋でみんなとゆっくり雑談するような余裕はまだなくて。役の切り替えも、化粧や衣装を替える中で何とかできている感じです。でもこの大変さを経験できること自体に感謝ですね」。浅草歌舞伎の主要メンバー入りは、将来の歌舞伎界を担う期待の若手であることの証し。「祖父も父も『おめでとう』と。父にも『24歳でこんなに色々と経験を積ませてもらえるのは本当にありがたいことなんだ』と言われました」

 転機は23年。映画の山田洋次監督が東京・歌舞伎座で演出した「文七元結物語」で、玉太郎は主人公・左官長兵衛(中村獅童)の娘、お久を演じた。山田監督の演出は厳しく、心の奥から役になっていないと、すぐに見透かされた。

 それまでどちらかというと、所作や型を重視する傾向が強かった。「型も大事で、それぞれに理由があり、役の心情を意味することは多いので」。しかし、山田組参加を通して「一番大事なのは、気持ちだと教わりました。あれ以来、気持ちの作り方、役との向き合い方を考えるようになりました」。「演じるとは何か」を新しい角度から熟考させられた。

 はにかんだような表情を見せ、控えめな話し口調。その一方で受け答えの明瞭さに驚かされる。こちらが「前のインタビューから4、5年かな」と言えば、即答で「前回は2021年〇〇の時でした」という具合だ。

 主要メンバーの中でも中村橋之助(29)、中村莟玉(28)は浅草歌舞伎の先輩。「落ちつきから違っていて安心感を与えてくれる。いろいろ悩みながらですが、自分もこれから変わっていければ、と思っています」(内野 小百美)

 ◆中村玉太郎(なかむら・たまたろう)あらかると

 ▼生まれ 2000年10月22日、東京都生まれ。24歳。本名・河野彩人。

 ▼略歴 06年4月、歌舞伎座で5代目玉太郎を名乗り初舞台。屋号は加賀屋。

 ▼ニックネーム タマちゃん、あっくん。

 ▼好きな食べ物 食べることが大好きで好物も多いが最近はまり出したのが「油そば」。「想像したほど全然、脂っこくないんですね」

 ▼座右の銘 「明日は明日の風が吹く」

 ▼ポケモン 幼少期から好きなのが「ポケットモンスター」。「人を夢中にさせること」を教わったという。

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