大相撲の横綱・照ノ富士(33)=伊勢ケ浜=が現役引退の意向を固めたことが16日、分かった。日本相撲協会関係者が明らかにした。2場所連続全休明けの今場所は4日目に2敗目を喫するなど不振。5日目(16日)を休場していた。大関から序二段に転落しながら復活した強い精神力も力尽きた。
照ノ富士は大関から序二段まで陥落しながら横綱まで上り詰めたことが示すように、精神力の強さは並大抵のものではなかった。
両膝の状態は、以前に自らが「人工関節を入れなければいけない」と語るほどの状態だった。約2年前には「将来を考えたら、今でも辞めたい」と口にしたことも。それでも現役を続けたのは「自分がやりたいから。1回立てた目標があるので、達成しないと満足感がない」と、さらりと言ってのけた。その言葉通りに、日頃から目標としていた2ケタ優勝も達成した。
昨年の春場所で110年ぶりの新入幕優勝を飾った弟弟子の尊富士が、けがのため千秋楽の出場が危ぶまれた際には「記録じゃなくて記憶に残したいんだろ?」と背中を押したこともある。不屈―。まさにこの2文字が似合う横綱だった。(三須 慶太)