フジテレビは17日、東京・台場の同局で定例社長会見を行った。港浩一社長(72)は一部週刊誌で報じられたタレント・中居正広(52)による女性トラブルに関して、初めて言及。100分以上に及んだ会見では、第三者の弁護士を入れた調査委員会の新設を表明し、同局社員の関与を改めて否定した。その一方で、港社長自身も調査対象になることから具体的な発言を避け、核心には触れず。説明責任を果たせなかった。
開始前から汗を拭い、水を飲むなど緊張した面持ちだった港社長は「視聴者及び関係者の皆さまに多大なご迷惑、ご心配をおかけしておりますこと、現在まで説明できなかったことをお詫(わ)び申し上げます」と謝罪の言葉から始めた。「今後、外部の第三者調査委員会を立ち上げることにしました」と続けた。
騒動が報道される前から、外部の弁護士を含めたチームによって調査を行っていたが、同局幹部が別の食事会もセッティングしていたこと、当該女性が上司に相談していた内容なども一部で報じられたことから、「次のフェーズに入った」と判断。調査対象を会社全体に広げた調査委員会を新設することを発表した。
日本弁護士連合会が定める「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に沿ったものではないが、昨年発足したチームよりも「独立性や専門性が高い」という弁護士を3人以上入れ、発足時には新たに説明の場を設けることを約束。港社長は「対応や判断が適切だったのか。徹底的に調査してもらいたい」と話した。
「週刊文春」は、同局社員を交えた食事会の予定が直前に中居と女性の2人だけになって性的トラブルが起き、中居が解決金約9000万円で示談したと報道。女性に対する同局幹部らの対応の問題も指摘した。
港社長は会見で、調査委員会では、一連の週刊誌報道について調べるとし、自身も調査対象になると述べた。
同局は昨年12月、社員の関与について「会の設定を含め一切関与していない」というコメントを発表した。会見では、社員への聞き取りや通信履歴の確認をした上で判断したとし、改めて関与を否定する一方、「この点についても調査委員会の調査に委ねたい」(別の役員)とした。
マイクが入っていない状態で声を張り上げるなど強い姿勢を示した一方で、会社としての具体的な対応に関する質問が繰り返し飛ぶと、調査を理由に回答を控えた。
女性社員にタレントを「接待」させる食事会を、フジが常態的に設けていたという報道については「打ち上げなどで親睦を深めることもありますが、アナウンサーは自由参加。私はそういうことがなかったと信じたいです」と答えた。さらに「性的な場に関しては、全くないと信じています」と語気を強めたが、完全否定には至らず。歯切れの悪さがフジテレビの苦しさを際立たせた。