身長163センチとBリーグ登録選手で最も小さい20歳の若武者が、B2ベルテックス静岡の貴重なピースになっている。昨年特別指定選手(アマ契約)で加入したPG山本愛哉(まなや、20)=神奈川大3年、飛龍高出=が昨年末、12月29日の愛媛戦でBデビューしてから5試合連続3点シュートを決めるなど活躍中だ。2メートルを超す猛者に負けず、大きな存在感を示す“最小兵選手”にスポーツ報知がインタビューを試みた。
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堂々としたプレーぶりは、大学生とは思えない。ベルテックス静岡の新戦力、山本が中断明けもチームの貴重な戦力としてコートに立つ。愛媛戦でBリーグデビューを果たし、1月4日の山形戦のホーム初陣では11得点と大活躍。全5戦で3点シュートを沈め、出場した試合は4勝1敗とチームに貢献。リーグ一小さい男の存在感は、日増しに高まっている。
山本「3点シュートを決められたのは良かった。身長が身長なので(外からの)シュートは決めないといけないと思ってます」
けが人を多く抱えるチームの“救世主”となった。控えPG鍋田隆征(23)が山形戦前の練習中に左アキレス腱を断裂してインジュアリーリスト入り。SF新川敬大(29)は右手第三中手骨骨折中でベンチ外。外周りの選手を複数欠く中、デビュー以降、司令塔・岡田雄三(28)の控え役として森高大ヘッドコーチ(35)から1試合10分以上のプレータイムを与えられている。
森HC「持っているものを十分、発揮してくれている。愛哉のいいところは、まず、スリーを高確率で決めること。チームを統率して味方のチャンスをつくりながら、自分でも得点を取れる能力を持っている。やっぱり、課題はディフェンス。宿命とも言えるけど、大きい選手相手にどう守るか。今後、Bリーグで超えなければいけない壁になる」
山本もそこは実感している。「フィジカル、高さの部分はまだまだです。特に、ディフェンス面が課題」。そのために、プロに当たり負けしないため肉体改造にも取り組んでいる。トレーナーと話し合って体重アップに着手している。
山本「登録は59キロ。体重が軽いので食事面も意識して徐々に、体重を増やすことを考えている。一気に上げると、スピードも落ちるし、体も壊れてしまうので、徐々に、増やして最終的には67、8キロぐらいにしたい」
休みの時間もバスケに向き合っている。練習以外でも映像で国内外の試合を見ているという。
「特にB1、アルバルク(東京)の試合を見ている。最新の戦術を取り入れているので、勉強になります」
小柄な選手が、2メートルを超える外国人の間をすり抜けて躍動する姿はバスケットのだいご味の一つ。中断期間を経て、ベルテは25、26日にリーグ再開後の2連戦で鹿児島と対戦。プレーオフの行方が懸かる後半戦の順位争いとともに、山本のプレーから目が離せない。
(塩沢 武士)
◆山本 愛哉(やまもと・まなや)2004年3月1日、御殿場市生まれ。20歳。福岡・北九州市出身。飛龍高から神奈川大に進学。昨年12月に特別指定選手でベルテックス静岡に加入。普段は右利きだが、シュートだけ左利き。163センチ。59キロ。
〇…ベルテが17日、練習を再開。中断期間を利用して13日から4連休した選手たちは約1時間半、静岡市内で体を動かした。特別指定選手(プロ契約)として12月に加入したSF上村大佐(たいすけ、専大4年)が次節・鹿児島戦(25、26日)へ意気込みを語った。1月5日の山形戦でプロデビュー。2試合に出場し、いずれも3点シュートを決めたが、1試合平均出場時間は2分23秒と試合に絡めていない。「チームディフェンスの理解度がまだまだ。課題を克服してプレー時間を伸ばしたい」。名門・能代工(現能代科学技術、秋田)の最後の世代が、さらなる活躍を目指す。