オリックス、巨人で活躍した谷佳知さん(51)と2000年シドニー、04年アテネ五輪柔道女子48キロ級金メダリストの谷亮子さん(49)の次男・晃明内野手(15)が18日、昨春センバツ4強の強豪・中央学院(千葉)に合格した。駒大でプレーする兄・佳亮(よしあき)外野手(1年=東京学館浦安)が届かなかった甲子園出場を目指し、白球に青春を懸ける。亮子さんと晃明はスポーツ報知の取材に、新天地への熱き思いを語った。(取材・構成=加藤 弘士、谷口 隆俊)
サクラサク。晃明は17日に中央学院のスポーツ単願推薦入試を受験。この日、合格通知が届いた。野村克也監督率いる社会人野球・シダックスでプレーし、愛情あふれる指導と理知的なチームマネジメントで同校を昨春センバツ4強に導いた相馬幸樹監督(45)の下、自らを磨く。高校での抱負を、こう語った。
「みんなで甲子園に行くことが目標です。まずはベンチに入れるよう、走るなどして体を作っていきたい」
野球を本格的に始めたのは中1から。下地は“マルチスポーツ”で鍛えた。5歳からアイスホッケーを始め、小2の時には日本一に。テニスにも挑戦し、練習中の指示は全て英語で行われる「イングリッシュサッカー」もプレーした。母の背中を追い、柔道に臨む選択肢はなかったのか。
「柔道は遊び感覚でやる感じです。球技が得意なので」
知人に頼まれて小3から1年ほど、野球チームに入ったこともある。初めて出た公式戦、初打席で本塁打を放つド派手デビュー。チームを優勝に導いた。その頃、晃明はあるメジャーリーガーに夢中になった。アストロズのホセ・アルテューベだ。身長168センチだが、俊足好打の活躍に心を奪われた。亮子さんは言う。
「アルテューベ選手のことを見つけて、私に教えてくれました。小柄ながら首位打者を3度獲得したと。その時はまだ体が小さかった晃明が、その姿に魅(み)せられたのだと思います」
中1から巨人・阿部監督も在籍した名門・浦安リトルシニアで本格的に野球を始めた。二塁手をメインに投手として登板することもあり、外野も守った。練習場までは自宅から車で1時間以上かかるが、亮子さんは送迎を3年間続けた。五輪5大会で連覇を含め、全てメダルを獲得した柔道界のレジェンドが、ウグイス嬢として放送席に座り、アナウンスを担当した。亮子さんは続けた。
「中2の時からプロになりたいと言っていました。夢は大きい方がいい。夢に向かって頑張ってほしい」
高校で初めて親元を離れ、入寮する。晃明は力を込めた。
「目標とする選手は父です。小さい時から自立することが大事だと教えてもらいました。将来はプロ野球選手になりたい。メジャーにも挑戦するような選手になりたいです」
大志を胸に、激戦区・千葉で新たな挑戦を始める。
◆谷 晃明(たに・こうめい)2009年10月9日、東京都生まれ。15歳。5歳からさまざまなスポーツを経験。アイスホッケーでは小2の時に全国大会V。野球は中1から浦安リトルシニアで本格的に取り組み、主に「5番・二塁」。広角に打つ打撃と守備力に定評がある。165センチ、62キロ。右投右打。名前の由来は「三国志」の蜀の軍師として知られる諸葛亮の字(あざな)である孔明から。
○…長男の佳亮外野手は中学までアイスホッケーに熱中。東京学館浦安(千葉)で野球に転向し、2年秋にレギュラーをつかんだ。「1番・右翼」で出場した3年夏の千葉大会では本塁打を放つなど、5回戦進出に貢献。現在は東都大学リーグの名門・駒大で腕を磨く。中央学院を受験する晃明には「千葉の高校野球はレベルが高いぞ」と話したという。甲子園には届かなかった兄の思いも背負いながら、聖地へ突き進む。