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岩手大会決勝の登板回避から6年 大船渡高時代の恩師が佐々木朗希にエール…ドジャース選んだ理由にも思い巡らす

スポーツ報知 2025年1月19日 6時0分

 佐々木朗希投手(23)が大船渡高(岩手)の3年生だった19年夏。その名前を日本中に知らしめる出来事があった。花巻東との岩手大会決勝。あと1つ勝てば甲子園という状況にもかかわらず、エースは登板を回避した。全ては「故障を防ぐため」。高校野球のあり方を問うような大きな決断を下した当時の国保陽平監督(37、現盛岡一高野球部副部長)は、教え子がメジャー入りの夢をかなえたことを「すごくよかった」と喜んだ。

 大切に育ててきた“宝”が、メジャーへと羽ばたいていく。国保氏は「歴史あるドジャースに決まって、すごく良かったと思います」と喜びを述べた。

 米独立リーグを経験したことのある国保氏は、常に未来を見据えて朗希と向き合ってきた。岩手大会決勝は2―12で大敗。登板回避という決断は批判にもさらされたが、前日の準決勝で129球を投じた朗希を守ったことが今につながったという見方もできる。

 「そこだけがフォーカスされがちですが、小学校、中学校、そして千葉ロッテマリーンズ。それぞれの指導者が、温かい目線で次のステージへとつなげてくれたからではないでしょうか」と国保氏。教え子がドジャースを選んだことについて「『ここまで成長した過程を大切にする』という考えを伝えてくれたからでは? それが、心に響いたのではないかと想像しています」と思いを巡らせた。

 最速165キロ。日本が誇る剛腕が、いよいよメジャーの強打者と相まみえる。国保氏は「簡単にストライクは取れないし、アウトを続けて取るのも難しいと思う。自分ができることを積み重ねていくしかないでしょう」としながらも、期待を隠さなかった。「160キロのボールを思い通りに投げることができるという日々は、限られていると思います。今の自分の体とドジャースという環境を最大限に活用し、目標に向かってチャレンジしてほしいですね」。朗希にとって、これからが本当の勝負。一日でも早くメジャーのマウンドで輝くことを恩師は願っている。(浜木 俊介)

 ◆朗希の育成 プロ入りした2020年から22年までロッテの監督を務めた井口資仁さんは「5年計画」で体力面の強化を第一に育成。コーチ、トレーナーだけではなく、医師とも意見をすり合わせ、ブルペンの投球数まで細かく管理。将来の活躍を見据えて育成してきた。

 ◆朗希の高3夏 高校生史上最速163キロを誇る大船渡・佐々木朗希は、夏の岩手大会4試合に先発して計435球を投げ、決勝進出に貢献。甲子園に王手をかけたが、決勝の花巻東戦は登板を回避し、チームは2―12で大敗した。国保監督は「壊れる可能性が高いかなと思って決断できませんでした」と故障防止の観点から起用を見送ったと説明。学校には2日で200件以上、抗議の電話やメールが来るなど、議論を巻き起こした。

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