◆大相撲初場所8日目(19日、東京・両国国技館)
元幕内の西序二段19枚目・矢後(押尾川)が東24枚目・富士泉(錦戸)を寄り切って4連勝。勝ち越しを決めた。
立ち合いから圧倒した。富士泉を押し込んで左を入れてから右上手を取った。得意の左四つに組めば、序二段では力上位。そのまま寄り切った。「きょうはいい相撲が取れました。勝ち越し? まあ、ホッとしてますけど…」と言葉を濁した後に「目標はここではない」との問いに「ハイ」と力強く返した。
昨年の夏場所後に初めて膝にメスを入れる手術を受けた。一刻も早く関取に戻りたいという思いからだった。プライドを捨てて序二段からの再出発。焦る気持ちは当然あるが、「目先の一番を大事にしていきたい」というのが現在の心境でもあるという。
観客の少ない序二段の土俵でも矢後が土俵に上がると歓声が飛ぶ。かっての師匠でもある先代の尾車親方(元大関・琴風)も復活を静かに見守っている。勝ち越しは矢後にとって最初の小さなハードルにしか過ぎない。