第101回箱根駅伝(1月2、3日)で総合新記録の10時間41分19秒で2年連続8度目の優勝を果たした青学大の皆渡星七(みなわたり・せな、3年)が19日、自身のSNSで昨年11月に「悪性リンパ腫」と診断され、現在、治療を続けていることを明かした。「がんになっても箱根を目指したい」と題し「現在がんと闘っている、またこれからがんになるかもしれないアスリートに向けて、どういった立ち上げ、リハビリをしたのかという記録を残し、発信したい。僕の持っているポジティブ思考と内面的な成長を、アウトプットしたい」など、と前向きな言葉をつづった。
青学大の田中悠登主将(4年)は20日、スポーツ報知の取材に対し「本人が公表したのでコメントします」と前置きした上で「彼らしい発信と思いました。必ず戻ってくれると信じています」と後輩にエールを送った。
昨年の第100回箱根駅伝では皆渡が7区、田中が8区に登録された。2人がタスキをつなぐプランもあったが、いずれも当日変更で出番なしとなった。2人とも第101回箱根駅伝にかける思いは強かった。
大学卒業を機に引退し、出身地のテレビ局の福井放送にアナウンサーとして入社する田中は、最後の箱根駅伝で9区2位と力走した。
皆渡も夏合宿で厳しい練習に取り組み、昨年11月の全日本大学駅伝でも16人の登録メンバーに名を連ねた。初の箱根駅伝出場に向けて着実に進んでいたが、11月以降、チーム練習に参加せず、入院。箱根駅伝直前のチームミーティングには入院先からリモートで参加した。原晋監督(57)は「皆渡は『走れることは当たり前ではありません。箱根駅伝、頑張ってください』とチームメートを励ましました。みんなで彼を励まさなければいけないのに、みんなが彼に励まされた。第101回箱根駅伝で優勝できたのは間違いなく皆渡の力があった」と明かした。
主将の田中はじめ、出場メンバーの力走の裏には皆渡のエールがあった。その皆渡に対して、田中は「必ず戻ってくれる」とエールを送り返した。
◆皆渡星七(みなわたり・せな)2004年2月2日、大阪・豊中市生まれ。20歳。22年に関大北陽高から青学大経営学部に入学。2年時の第100回箱根駅伝では16人の登録メンバー入り。自己ベスト記録は5000メートル13分51秒38、1万メートル28分49秒30、ハーフマラソン1時間3分30秒。