野球をする子どもたちの未来を考える「第6回神奈川学童野球指導者セミナー」が19日、横浜市内の横浜市西公会堂で開かれ、元ヤクルト投手で社会人野球・マルハン北日本カンパニーの監督を務める館山昌平氏(43)が「ケガの予防と正しい情報」をテーマに特別講演を行った。3度のトミー・ジョン手術を含む10度の手術を行い、15年にはカムバック賞を受賞した経験を踏まえ、少年期のスポーツ障害予防に提言した。
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質疑応答では館山氏に客席から「今でも心に残っている、指導者の言葉は何ですか」との質問が飛んだ。
「そうですね…。復帰したときに、高津臣吾監督…その時は投手コーチだったんですが、高津さんに言われた『きょうはお前の日だ』という一言ですね」
ちょうど10年前だ。2015年6月28日、神宮球場で行われたヤクルト・巨人戦。客席は3万1531人の大観衆で埋まった。2013、14年に右肘靱帯再建手術を受け、814日ぶりのマウンド。先発し、5回途中7安打4失点と打たれはしたが、5回に山田哲人が14号逆転2ランを放ち、黒星を消した。ベンチも2点リードの8回途中から守護神のバーネットを異例の投入。ナインも一丸になって、勝ちきった。
「長いリハビリをやってきて、この瞬間を迎えられて、本当に良かったと思いましたね」
この年はその後6勝を挙げ、14年ぶりのリーグ優勝に貢献。日本シリーズでも先発した。復活を後押しした、熱い言葉だった。
必死と必死がぶつかる、勝負の世界。ベンチやグラウンドでは、魂を揺さぶる言葉が飛び交う。2025年シーズンの開幕が、待ちきれない。(加藤 弘士)