野球好きで知られるタレントのダンカンが21日、東京・なかのZERO(視聴覚ホール)で第4回となる野球トークイベントを開催。広島、ヤクルトで活躍した小早川毅彦氏がゲスト出演した。
1987年9月20日に巨人・江川卓氏に現役引退を決断させる本塁打を放ったことで知られる小早川氏が当時の貴重なエピソードを語った。巨人に1―2とリードされた9回2死。広島の3番・高橋慶彦氏の打球は巨人の一塁手・中畑清氏のミスで内野安打に。2死一塁で打席に立った小早川氏は「江川さんは調子が良かったから、インサイド高めに真っすぐを投げてくると分かっていました。僕も一発を狙っていました」。打球は右翼席に飛び込み、逆転サヨナラ本塁打となった。
小早川氏にとって、江川氏は法政大学の先輩。それ以来、会っても本塁打のことは一度も話さなかったという。引退から30年ほど経過したある日、解説者として訪れたソフトバンクのキャンプ地で江川氏と対面。当時ソフトバンクのコーチをしていた元広島の達川光男氏が「江川、そう言えば、タケ(小早川)に打たれて辞めたんだってな」と言い放ったという。小早川氏は「達川さんは何てデリカシーのない人なんだと思いました」と振り返った。
それに対し、江川氏は「あのボールは納得できる、いいボールだったんだよ」と、すがすがしい表情で語った。それを聞き、小早川氏は「すーっと喉につかえていたものが取れた。達川さんはデリカシーがない人だと思ったけど、むしろ『ありがとうございます!』という気持ちになりました」。さらに江川氏は「俺を引退させたのは、小早川じゃなくて、(直前に守備でミスをした)中畑清なんだよ」とジョークで笑わせたという。