◆「室町無頼」(入江悠監督、公開中)
室町時代中期、応仁の乱前夜の京の都を舞台にしたアクション時代劇。大泉洋(51)演じる蓮田兵衛(ひょうえ)は困窮する庶民を救うため、日本の歴史上唯一、武士階級として一揆を主導した人物。アウトロー(無頼)が結集し、洛中に攻め込むシーンは圧巻だ。
兵衛のキャラクターも魅力的。大泉が会見で「三船敏郎さんを意識した」と語っていたので、武骨な無頼漢を想像したが、まるで違った。ハードボイルドな面もありながら、愛嬌(あいきょう)があり、随所に大泉らしさを発揮。殺陣のシーンでも荒々しさの中に、人間味を感じさせる。
なにわ男子・長尾謙杜(22)演じる才蔵が棒術の修行をする場面は、ジャッキー・チェンの映画を想起させた。ほかにも黒澤明監督の「七人の侍」など名作映画のオマージュが盛り込まれている。