巨人・坂本勇人内野手(36)が22日、沖縄県内で自主トレを公開し、打棒完全復活への決意を示した。三塁に本格転向した昨季、守備ではゴールデン・グラブ賞を獲得するも、打撃は打率2割3分8厘、7本塁打、34打点に終わっただけに「『あいつやっぱ打つな』って思わせます」と逆襲を宣言。室内フリー打撃で鋭い打球を連発するなど約5時間のハードトレをこなし、順調な調整ぶりをうかがわせた。小学生時代にバッテリーを組んでいた田中将大投手(36)との「ダブルお立ち台」にも意欲を見せた。
視線を外した。今季の目標を問われた坂本が3秒間、沈黙した。約5時間の自主トレ終了後の報道陣対応。「目標というか」と切り出して続けた言葉に、現役最多2415安打を誇るバットマンとしての矜持(きょうじ)がにじんだ。
「去年は『坂本打たないな』って、たぶん言われてたんで。『あいつやっぱ打つな』って思わせます。頑張ります」
覚悟を裏付けるように、朝から体をいじめ抜いた。午前8時52分にウェートルーム入り。続けて10本の坂道ダッシュ、ノックをこなした。オコエ、湯浅、増田陸、萩尾、オイシックス・陽とこなす連日のハードトレに「(体は)バキバキです」と苦笑いも、午後の室内フリー打撃では70スイングで快音を連発した。109試合で打率2割3分8厘だった昨季から巻き返しを期す19年目へ、この時期からアクセルを踏んでいる。
「特別な存在」が新たな発奮材料になる。小学生時代に兵庫の「昆陽里(こやのさと)タイガース」でチームメートだった田中将が巨人入り。球界をけん引してきた両雄が、時を経て共闘する。「将大も去年あんまり良くなかったし、僕もそうでしたし。たぶんお互いに絶対見返してやるぞと思ってやってるんで」と昨季未勝利だった右腕とともに、復活ロードを歩む。
通算200勝まで残り3勝に迫る田中将に対し、「もちろん投げている試合で活躍したいですし、一緒にお立ち台に立てたらチームにとっていいこと」と未来を思い描いた。巨人のレジェンド共演で思い浮かぶのは「KKコンビ」。97年4月に右肘手術から復活した桑田真澄が683日ぶりに勝利を挙げ、西武からFA加入した清原和博が移籍1号で援護した。PL学園時代に甲子園を席巻した最強タッグが、お立ち台に並んだ。「あっちはもっとすごいので」と大先輩に敬意を表したが、G党は両雄並び立つ日を夢想している。
昨年11月から胸郭を意識したトレーニングに着手し、スイング時の可動域を広げる試みも始めている。「(シーズン)トータルで打ったなって言わせたい。か、また打たなかったなって言われるかのどっちか。そういう世界なので。そう言われないよう頑張るだけです」。盟友とともに、逆襲の準備はできている。(内田 拓希)
◆昨季の坂本 プロ入り後初めて「三塁」で開幕。2戦目に本塁打を記録するなど順調なスタートだったが、徐々に成績を落とした。「長嶋茂雄DAY」だった5月3日・阪神戦ではプロ野球歴代3位のミスターに並ぶ通算186度目の猛打賞を記録。それでもその後も復調とはいかず、「リフレッシュ」として6月26日に出場選手登録を抹消された。故障や体調不良以外の2軍調整は新人時代の07年以来17年ぶり。約2週間後の7月12日に1軍復帰を果たした。守備では安定感が光り、三塁手としては初のゴールデン・グラブ賞を獲得したが、109試合で打率2割3分8厘、7本塁打、34打点だった。