NHKの報道番組「クローズアップ現代」(月~水曜・午後7時半)で22日、「独占密着・佐々木朗希MLB移籍舞台裏▼初めて語る決断の背景」と題し、ロッテからポスティングシステムを利用しドジャース入りした佐々木朗希投手の特集が放送された。
番組内では23歳の若さでMLB入り選んだ理由を語った。規定で25歳未満の外国人選手はマイナー契約しか結べない。年俸やロッテに支払われる譲渡金も低い金額になり、佐々木自身もケガが多くシーズンを通して活躍した実績がなく日本球界への貢献も不十分という批判もあった。
これらの状況を踏まえながら、佐々木は胸の内を明かした。「学生のときから割と早い段階からスピードボールを投げられて、その分、ケガと隣り合わせというか…。いつ投げられなくなるというか、そういう怖さと戦いながらやっていた」と語り、これまで公表されていなかったケガが移籍の背景にあるとした。
プロ1年目の2020年の開幕前、シート打撃で負傷した。「右肘の肉離れをしてリハビリをしていたんですけど、なかなか治りが悪くて」。回復は思わしくなく、病院を何か所もまわった。従来のフォームでは痛みで投げられず、「(肘のじん帯を再建する)トミー・ジョン手術をした方がいい」と言う医師もいた。「プロで一球も投げていない段階で、そういう風に言われて。いつ僕が野球できなくなるとか、投げられなくなるとか…。今出しているパフォーマンスが出せなくなるとか…。本当に分からないと思いました」と当時を振り返った。
不安な思いの中で大船渡高3年夏の岩手県大会で決勝まで進み、ケガのリスクから登板せずに結果敗れたことを思い出した。「(決勝で敗れた後)自分に何ができるかと考えたら、プロ野球で成功する、野球選手として成功することしかできないなと思った。ロッテに入ってからも別で調整というか段階を踏ませてもらってやっている中で、そういうこと(=ケガ)が起きてしまってすごく、なんて言うんですかね、不安でした」と心中を明かした。
痛みの原因はその後に判明。肩周りのコンディションが悪く、それが原因で神経の緊張が強くなり、肘の内側に痛みが出ており、じん帯には全く異常はなかったことが放送で伝えられた。だが、「たった一球で(選手生命が)覆されてしまう。そういう可能性もあるんだなっていうことは本当に感じましたし、この先どうなるかわからない中で、2年待つというよりも、今のタイミングでメジャー挑戦して成長していくってのがベストかな」とケガをしたことが移籍を決断する要素となったと語った。