サッカー元日本代表FW柿谷曜一朗が23日、ヨドコウ桜スタジアムで引退会見を開き、「この年まで、サッカーを続けてこれたのは、自分でもすごくびっくりしてる。若い時は問題児で大人じゃないままサッカー選手になった。未熟なままスタートしていた中で、まさか35歳までプレーすると思ってなかった。後悔は全くない」と振り返った。
抜群のサッカーセンスで若くして注目を集め、「ジーニアス(天才)」の愛称で親しまれたストライカーだが、「数年前からすごくサッカーが好きで楽しくて、簡単で、こんな僕にあったスポーツはないと思ってやってきてたけど、今思うのはしんどくて、難しくて、僕がボールを追いかけてたような状態じゃない、と数年前からあった。キレが年齢とともに落ちてくる。いくつかオファーがあったけど中途半端な気持ちでやるのは違うと思って、引退するしかないかなと」と引退の理由を明かした。
下部組織から在籍したC大阪では16歳でトップチームデビュー。アンダー世代の日本代表でも中心選手として活躍した。一方で遅刻など素行面の問題もあり、事実上の戦力外として、徳島へ期限付き移籍すると、才能が開花した。
C大阪復帰2年目の13年にはJ1で21得点を挙げ、14年ブラジルW杯にも出場。スイス1部バーゼル、C大阪への2度目の復帰、名古屋を経て23年からは12シーズンぶりに戻ったJ2徳島でプレーした。
今後については、指導者などは考えておらず、サッカー関連の仕事をするという。「引退を発表して、たくさんコメント、お疲れさまと言葉をもらった。うれしかったけど、お疲れさまというより、今日が新しい柿谷曜一朗のスタートと思ってる」と笑顔を見せた。
◆柿谷 曜一朗(かきたに・よういちろう)1990年1月3日、大阪府生まれ。35歳。C大阪の下部組織からトップ昇格。2009~11年はJ2徳島に期限付き移籍。14~16年にはスイス1部バーゼルに在籍。C大阪から21年に名古屋、23年からJ2徳島。利き足は右。J1通算238試合52得点。国際Aマッチ18試合5得点。176センチ、68キロ。