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青学大の原監督「オール青山の戦いでした」 闘病中の皆渡星七に配慮し静かに喜び伝える…箱根駅伝連覇の報告会で

スポーツ報知 2025年1月23日 13時12分

 第101回箱根駅伝(1月2、3日)で総合新記録の10時間41分19秒で2年連続8度目の優勝を果たした青学大が23日、東京・渋谷区の青山キャンパスで優勝報告会を行った。昼休みに集まった学生、卒業生、教職員に、原晋監督(57)が「オール青山の戦いでした」とあいさつすると、温かい拍手が沸き起こった。原監督は、10時間41分19秒の新記録について「良い(41分)選手はゴールの大手町に行く(19秒)ぞ、です」と語呂合わせを披露したが、いつもに比べると、冷静に喜びを報告した。チームの一員で昨年11月に悪性リンパ腫と診断されたことを1月19日に公表した皆渡星七(みなわたり・せな、3年)に配慮した姿勢だった。

 皆渡は2年だった前回の第100回箱根駅伝で16人の登録メンバー入りを果たした。7区に登録され、当日変更で出番なしとなったが、原監督は「次の第101回大会では復路の主力になる」と期待していた。3年に進級した今季、順調に成長し、昨年6月に5000メートルで13分51秒38の自己ベストを更新。夏合宿では地道な走り込みを重ね、同11月3日の全日本大学駅伝で16人の登録メンバーに名を連ねた。しかし、11月中旬以降、チーム練習に参加していなかった。

 原監督は「箱根駅伝前のミーティングには入院先からリモートで参加しました。『走れることは当たり前ではありません。箱根駅伝、頑張ってください』とメンバーを励ましました。みんなで彼を励まさなければいけないのに、みんなが彼に励まされた。第101回箱根駅伝で優勝できたのは皆渡の力がありました」と舞台裏を明かす。

 昨年12月12日に同じ場所で行われた壮行会で、原監督は「優勝してチーム全員で笑顔で喜びあいたい。いつも応援してくれる学生の皆さんと喜びあいたい。名付けて『あいたいね大作戦』です! 『あいたいね大作戦』スタートです!」と力強く話した。宣言通りに優勝し「『あいたいね大作戦』、大成功です」と話していたが、皆渡が自身の闘病を公表した後、実は、まだ終わっていないことを初めて明かした。「元気になった皆渡がチームに戻ってきた時、初めて『あいたいね大作戦』が完結します」と指揮官は明言した。

 自身のSNSで「がんになっても箱根を目指したい」「僕の持っているポジティブ思考と内面的な成長をアウトプットしたい」などと前向きな言葉をつづった皆渡に対し、主将の田中悠登(4年)は「彼らしい発信と思いました。必ず戻ってくれると信じています」と言葉に力を込めた。

 多くの青学大生が集まる箱根駅伝壮行会、報告会に、皆渡が戻ってくることをみんなが待っている。

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