24日の金曜ロードショー(後9時)は先週に続き「ハリー・ポッター」シリーズが登場。第7作の前編「ハリー・ポッターと死の秘宝PART1」(2010年)が枠を30分拡大して放送される。映画でのシリーズ最終作は、初めての2部作に。上映時間が計4時間半の大ボリュームとなったことに加え、原作者のJ・K・ローリング氏が初めて製作に加わったことで、より原作に忠実な作品となった。
前作「―謎のプリンス」(09年)で「分霊箱」がヴォルデモートの弱点であることが明らかに。ハリーとハーマイオニー、ロンはその在りかを探す旅に出る。そんな3人をヴォルデモートが操る「闇の力」は容赦なく襲う。物理的な攻撃だけでなく、ハリーらの心をむしばむことで彼らは精神的にも疲弊し、絆は引き裂かれようとしていた。
一方で、魔法界は更なる混乱に陥っていた。魔法省だけでなくホグワーツ魔法魔術学校も「死喰い人」の支配下に落ち、魔法使いたちは日々、恐怖の中で生活を送っていた。ある時、ハリーたちは分霊箱を探している中で、「死の秘宝」の伝説を知る。もし、ヴォルデモートがその秘宝を手に入れてしまえば、さらなる強大な力を得てしまうことから、ハリーはそれを防ごうとする…。
先週のコラムで、「前作の『―謎のプリンス』は青春物語ではないか」と書いたが、同じように例えるのであれば、今作は”ロードムービー”となっているのではないかと思う。ストーリーを見ても分かるように、本作は「分霊箱を探す旅」が物語の軸。これまではホグワーツ魔法魔術学校を軸に、様々な場所が舞台となっていたのだが、本作では学校はほとんど描かれていない。
そのため、これまで”常連”だった出演者が本作では登場せず、シリーズのファンにとっては寂しい思いをするかもしれない。ただ、それを補って余りあるのがハリーたちが赴く先々の美しい景色だ。よく言われる「英国独特のどんよりした空」を感じさせるシーンもあるが、広がる風景には思わず息をのんでしまう。
特に記者の印象に強く残ったのが、ロンと仲たがいしたハリーとハーマイオニーが訪れた、石畳が広がる高台。撮影が行われたのは「マルハム・コーブ」と呼ばれる国立公園内の観光地で、英中部マンチェスターの北60キロほどの場所にある。石畳は高さ約80メートルの崖の上に位置しており、氷河が石灰岩を浸食したことで幻想的な地形が生まれたという。(高柳 哲人)