巨人の横川凱投手(24)が25日、自主トレで弟子入りしている中日の涌井秀章投手(38)から「心技体」での学びを生かし「12勝」を目標に掲げた。千葉・館山のグラウンドで走り込みやキャッチボールなどを行い、涌井組最終日を終えた左腕は「やり残したことはないぐらいの気持ち」。1軍スタートの春季キャンプから先発ローテーション入りへアピールする。
充実感を漂わせ、横川が声を弾ませた。「涌井さんが的確なアドバイスをくださって、よくなっている実感がある。きついランニングやトレーニングでやり残したことはないぐらいの気持ちでキャンプに入れる」。高卒7年目。中日・涌井の自主トレに3年連続で参加し、「心技体」で鍛えられ「2ケタ勝利ってずっと言っていたけど10勝を目指していてもたどり着けない」と、今季の目標に「12勝」を掲げた。
周りを見る観察眼、冷静で強い「心」を学んだ。横川を始め中日の根尾、DeNAの小園、松本、西武の黒田が参加。「涌井さんは僕たちのことをよく見てくださっている」。練習中はもちろん、食事の席でも「誰が何を何杯飲んだまで見ている」と語る。1軍で成績を残し続けるには冷静に周囲を見る力も必要だと実感。さらに「淡々と見えるけど、一本一本しっかり手を抜かずに走っている。マウンドでも表情一つ変えないブレない感じが普段から出ています」。どんなにきつい練習でもひょうひょうとこなす師匠の姿にマウンドでも相手に弱さを見せない精神力を学んだ。
ブレない「技」を学んだ。「キャッチボールも1球目から最後まで変わらない。8割以上しっくりくる球が投げられるのが一番いい投手だと話をしていた」と再現性の高さを改めて実感。「自分はボールを強く握る癖があって『弱く』と言われ、しっくりきた」と助言ももらい、上半身に余計な力が入らずに体重移動がよりスムーズになった。
過酷なランニングをこなし「体」作りに努めた。ポール間走などこの日は約6キロを完走も「基本は毎日、12、13キロ走ってます」ととことん走り込む。今季39歳になる涌井も同じ量で「一番速い。これだけ長くやられている理由はここにある」。1年間ローテ投手として回り続けるスタミナ、ケガをしない体作りも学んだ。
充実の自主トレを終え、「チームの軸として回りたい。チャンスがないわけではないので自分次第。結果を出し続け、監督に『使えるな』って思われるように頑張ります」。ローテの座を射止め師匠に恩返しする。(水上 智恵)