◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
「野球をやっている以上は、やっぱり最高峰のレベル、メジャーでプレーしたい思いは誰だってあるんじゃないですかね」。最近、ロッテの若手選手から聞いた言葉だ。私も学生時代は小2から高校まで野球部。強豪校で鍛えられた一流の彼らとは違うが、気持ちは分かった気がした。6年前の入社直前、最高峰のメジャーの野球を一度は目にしたくなり、19年の春季キャンプが行われるアリゾナに向かった。
大谷翔平投手のエンゼルス移籍2年目だったが、すでに人気は随一。会場をカートで動くと、ファンがいっせいに追い掛けた。一方、衝撃だったのは、エンゼルス・トラウトの打撃練習。軽いスイングで強烈な打球を連発。入場料を取ってもいいくらいの見応えだった。アリゾナキャンプは各球団が密集しているため、はしごも可能。10日間で7球団を回った。
当時は学生だったこともあり、移動は格安航空券で往復10万円ほど、宿は1泊3000円弱でアメリカ人の一軒家を間借りした。現地での移動もバスや電車など、予算を最低限に抑えた一人旅だった。英語に自信もなく、初の海外で不安も多かったが、その時に直接見た光景や出会いは、かけがえのない財産に。勇気を持って飛び込んでみる、記者に大事なことを身をもって体感した。
昨年から野球担当でロッテを追い掛け、入社7年目の今年からはメジャー担当も務める。メジャー移籍を目指していた佐々木朗希投手が18日にドジャースとの契約を発表。ド軍のキャンプは2月11日(日本時間12日)、アリゾナで始まる。25歳未満での挑戦を疑問視する声も上がる中、「世界最高の若手投手」と評される逸材が勇気を持って踏み出した。彼が駆け上がる姿を目に焼き付けたい。(メジャー担当・竹内 夏紀)
◆竹内 夏紀(たけうち・なつき) 2019年入社。24年1月まで大相撲、同2月からロッテ担当。大学時代は東京ドームでボールボーイ。