フジ・メディア・ホールディングス(HD)は27日、フジテレビの港浩一社長(72)、嘉納修治会長(74)=フジ・メディアHD会長兼任=の辞任を発表した。元タレント・中居正広氏(52)の女性トラブルに同局社員が関与したとされた報道の影響などの責任を取った。フジ・メディアHDの専務取締役・清水賢治氏(64)が新社長に就任する。港社長らはこの日、東京・台場の同局で会見したが、不在だったフジサンケイグループ代表で、同局取締役相談役の日枝久氏(87)の責任を追及する怒号が飛び交った。
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事案は違えど、23年秋に実施された旧ジャニーズ事務所の会見と似通っている部分が多かった。大規模な再会見、芸能界全体を揺るがす人権侵害にあたるトラブル、第三者委員会の設置、社長交代…。ただ、大きく異なるのは、旧ジャニーズ事務所の場合は、最重要の調査対象であったジャニー喜多川氏が死去していたが、今回は芸能界を引退した中居氏を始め、トラブルへの関与が報じられた同局社員、ならびに同局幹部など調査対象者の声を聞くことができることだ。
一方で、喜多川氏と同様に、長らく組織のトップに君臨する日枝氏は、会見に出席せず。現時点では、辞任もしなかった。港社長は「企業風土の刷新」を掲げながら、フジ・メディアHDの金光修社長は日枝氏について「影響力は大きい。企業風土の礎をつくっている」と表現。“留任”に矛盾が生じる場面もあった。
旧ジャニーズ事務所は社名を変え、現時点で500人以上の補償を完了。フジテレビも日枝氏も含め、会社全体でうみを出し切ることしか再生への道はない。(田中 雄己)