阪神の石井大智投手(27)が古巣の四国IL・高知の主催試合でゲームスポンサーを務めることが27日、分かった。高知から20年ドラフト8位で入団した右腕は、今季中の1試合を「球団OB・石井大智デー」(仮称)として自腹でサポートする予定。現役選手が実名で冠スポンサーとなるのは極めて異例だが「支えてもらった独立リーグにもっと恩返しがしたい」と自ら打診し、実現した。同球団ホームページによると、冠試合のスポンサー料は1試合につき平日50万円、土日祝日が100万円となっている。
球界では昨年8月13日の西武ーソフトバンク戦(ベルーナD)が、西武・高橋のプロデュースするブランドの名称が入った「DK3ナイター」として行われた。現役選手が公式戦ゲームスポンサーを務めるのは球界初だったが、ブランドPRが主な目的。高知の担当者は「現役選手が個人名で主催試合を行うのは聞いた事がない」と驚きながら、感謝の思いを口にする。石井は21年から高知のチームスポンサーを務め、これまでも同球団ホームページにバナー広告を掲載。高知の主催試合ではバックネット裏に横断幕を掲出していた。「環境を今まで以上に整えることでNPBに行く選手が増えてほしい」と強調。当日のイベントなど詳細は未定だが、“第二の石井”誕生を誰よりも願っている。
昨季は56試合で4勝1敗、1セーブ、30ホールドで防御率1・48とフル回転。3月5、6日の強化試合・オランダ戦(京セラD)に臨む侍ジャパン候補にも選ばれている。この日は兵庫・鳴尾浜球場で自主トレし、「シーズンでパフォーマンスを出すのが一番の仕事」と汗をぬぐった。高知時代のスエットを今も愛用するNPB史上唯一の高専(秋田高専)卒選手。原点を忘れず、5年目に向かう。(直川 響)
◆独立リーグ 元オリックス監督の石毛宏典氏により05年、日本初の独立リーグ「四国アイランドリーグ」発足。その後各地で同様の動きがあり、14年に一般社団法人「日本独立リーグ野球機構」設立。24年時点で四国アイランドリーグplus、ルートインBCリーグ、ヤマエグループ九州アジアリーグ、北海道フロンティアリーグ、日本海リーグの5リーグ計20球団加盟。一般的に月給約10~20万円でオフのアルバイトで生計を立てる選手も。長距離バス移動など厳しい環境だが、100名以上のNPB選手を輩出している。