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「常に準決勝」石川祐希、ロス五輪まで目標を高く設定 ペルージャ強さの秘密も明かした…単独インタビュー

スポーツ報知 2025年1月29日 10時0分

 バレーボール男子の世界最高峰リーグ、イタリア1部(セリエA)でプレーする昨夏パリ五輪日本代表主将の石川祐希(29)=ペルージャ=が、28日までにペルージャでスポーツ報知の単独インタビューに応じた。イタリアで節目の10季目。目標に自身初の「リーグ優勝」を掲げ、28年ロサンゼルス五輪への決意を新たにした。イタリアでは、リーグ戦1部以外のカップ戦なども含め、個人では通算3000得点も目前に迫る。(取材・倉石 千種、構成=宮下 京香)

 昨季4冠のペルージャは今季開幕15連勝(2敗)。今月12日のトレンティーノ戦は2―3で敗れ、連勝は止まったが、常勝軍団で過ごす石川の表情は、充実に満ちていた。

 「まず(9月の)スーパーコッパ(前季上位4チームで争う大会)で優勝をつかむことができたので安心しましたし、良かった。(負けられない)重圧を感じる部分が少しはありますが、それ以上に充実していて。試合だけでなく練習から充実しています。僕にとっては成長できる環境だなと思います」

 年末年始も試合をこなし、迎えた2025年。目標は一点集中、リーグ優勝だ。

 「ペルージャは多くの大会で優勝してきたと思いますが、僕自身はまだイタリアのリーグで一度も取ったことがなくて。タイトルを取りたいという思いでペルージャ(に移籍)を選択したので、そこへの思いが僕の中では強いですね」

 現在リーグ1位の王者の強さは練習にある。対戦形式でも目の色が違う。

 「選手はそろっているし、非常にレベルが高い。質の高い練習を毎日しているから勝っていけると思います」

 試合や練習のスパイク決定率、サーブ効果率、サーブレシーブなどの個人のデータは、翌日にボードに貼り出される。高い緊張感の中、試合への準備がなされる。

 「(データの管理は)細かいですね。前日の練習のデータがどうだったというのはこれまではなかった。ただ、自分の数字を確認し、良ければ練習をしっかりできているということ。悪かったら、それは事実なので受け入れて、どう良くしていくかというだけの話。悪くてもネガティブになる必要はないと思ってやっています」

 今季リーグ戦はここまで第17節が終了し、石川は先発が6試合、途中出場で“ゲームチェンジャー”として11試合に出場する。個人ではイタリア通算2990得点で、3000得点も目前だ。課題にも言及した。

 「正直そこまで数字に関しては気にしていないです。数えてくれているのは、参考にはなるけど、何点取らなきゃという思いはそこまでなくて。今はプレーで結果を出すことを求められていると思いますし、コートに入った時には流れを持ってくることを心がけています。課題は引き続きレセプション(サーブレシーブ)。安定感を高めていきたい。伸びしろはあると思っています」

 28年ロス五輪に向けて、日本はパリ大会を率いたフィリップ・ブラン氏(64)から、新たな指揮官に同じフランス人のロラン・ティリ監督(61)が就任。25年から新体制で踏みだし、同6~7月にネーションズリーグ、同9月には世界選手権(フィリピン)が行われる。

 「新体制1年目は非常に大事なシーズンなので良いスタートを切りたい。ネーションズリーグや世界選手権もあるので、ロスでメダルを取る目標を立てるのであれば、パリからロスの4年間は常に結果を出せるチームであるべきだと僕は思います」

 日本は昨年のネーションズリーグで2大会連続の表彰台となる銀メダル。世界ランク2位で臨んだ昨夏のパリ五輪では2大会連続の8強。上位国入りが見えている。

 「どんなメンバーであれ、状況であれ、常に準決勝に駒を進めて高いレベルで勝負していけるチームでありたいなと思っています」

 12月には30歳を迎える。プレーヤーとしても円熟期に入る。

 「年齢を重ねたり、30だなという実感はあまりなくて(笑)。フィジカルとかはまだ若さがあると僕自身は思っています。今はできるだけ選手を長く続けるためのことを考えていければと思っていて。やれるだけやりたいなと思っています」

 ◆石川 祐希(いしかわ・ゆうき)1995年12月11日、愛知・岡崎市生まれ。29歳。小学4年でバレーを始め、星城高時代に2年連続高校3冠を達成。2014年に中大に進学し、同年に日本代表入り。同8月にセリエAのモデナと契約。同9月の仁川アジア大会で全日本デビュー。21年に日本代表主将に就任。同年の東京五輪、昨夏のパリ五輪で8強。女子日本代表の真佑(24)は妹。192センチ。

 ◆主な日本選手のイタリア挑戦 石川は20年9月にイタリア1部で日本人初の1000得点に到達。イタリア杯なども含めた記録で、現在は通算2990得点。高橋藍は21~23年にパドバ、23~24年にモンツァで計3季プレーし、通算779得点。越川優は09~12年にパドバで650得点。西田有志は21~22年にビーボバレンティアで306得点。加藤陽一は02~03年にトレビゾ、04~05年にペルージャなどで91得点。

 ◆25年の男子日本代表の活動予定 国内の大同生命SVリーグ今季終了後の5月頃にティリ監督の下、新体制が始動し、6~7月にネーションズリーグ(日本など)で前回銀メダルを上回る頂点を目指す。9月には世界選手権(12日開幕、フィリピン)が控える。

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