東京映画記者会(スポーツ報知など在京スポーツ紙7社で構成)が選ぶ「第67回(2024年度)ブルーリボン賞」が28日、決まった。「あんのこと」(入江悠監督)、「ナミビアの砂漠」(山中瑶子監督)の河合優実(24)が主演女優賞に輝き、21年度の新人賞以来、3年ぶりの受賞。授賞式は2月12日に都内で開催される。
身を削る役づくりで難役を演じきった河合が、主演女優賞の栄冠を手にした。「新人賞の頃は、お芝居をして自分が楽しいという感じだったけど、主演では感覚が全然違う。作品を背負うので、ホッとした喜び。頑張って良かったなと思います」と口元を緩めた。
「あん―」では、薬物中毒から更生しながらもコロナ禍の環境悪化で命を絶った少女を体当たりで演じた。「モデルになった方と手をつないで、守ってあげたいという気持ちになりました」。撮影中は唇を乾燥させ、目の下にはクマ。食欲が湧かず、体重が減ったという。
「ナミビア―」では、デビュー前の高校時代に手紙で「いつか出演させてください」とラブコールを送った27歳の山中監督と念願の初タッグ。自由奔放すぎる言動で周囲を振り回す役柄も「脚本ができる前から監督と意見交換して、役の心情を理解できました」。カンヌ国際映画祭の監督週間に出品され、海外映画祭を体験。「世界中の監督と仕事をしてみたいと思うようになりました。また手紙を書くかもしれません」と目を輝かせた。
2019年の女優デビューから6年。飽くなき探求心が原動力だ。「最初は芝居の引き出しが分からないまま、『この辺かな?』って開けたら面白い物が入っていた。自分も知らない表現を探していきたい」。知名度が急上昇しているが、「街で声をかけられることは全然ないので、まだ売れてないんだと思います」。その謙虚さも魅力だ。
3年前はコロナ禍で中止となり、今回が自身初の授賞式。河合の出世作となったTBS系ドラマ「不適切にもほどがある!」(ふてほど)に出演しながらも、共演シーンのなかった小泉今日子との対面を楽しみにしている。CMで小泉の代表曲「なんてったってアイドル」を歌っている縁もあり「私みたいな者が歌って、すいませんと謝りたい」と笑わせた。
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