東京映画記者会(スポーツ報知など在京スポーツ紙7社で構成)が選ぶ「第67回(2024年度)ブルーリボン賞」が28日、決まった。「碁盤斬り」(白石和彌監督)、「海の沈黙」(若松節朗監督)などで助演女優賞の小泉今日子(58)は05年度の主演女優賞以来、19年ぶり。授賞式は2月12日に都内で開催される。
最初の質問で受賞の感想を聞かれた小泉は「辞退したい気持ちで、何日も(受賞報告の)メールを放っておいたんです」と告白。記者たちを動揺させた。
5秒ほど沈黙して「それぞれ違う役をやらせていただいて、面白かった。でも、自分はそんなふうに(受賞にふさわしいほど)演じ切れたのかな…と思っていたんです」と向上心の高さゆえの悩みを明かした。「海の―」で共演した中井貴一(63)に「堂々ともらっておいで」と背中を押され、自分を納得させたという。
「碁盤―」では遊郭の女将(おかみ)役を貫禄たっぷりに演じ、「時代劇で京都の撮影所に行くのは初めてだったので、やっと映画俳優の仲間入りができました」。ヒロインを務めた「海の―」には「同期で同い年の本木(雅弘)さんとの共演が感慨深かった。この年齢になった2人を自分自身も見たかったんです」と思いを込めた。
芸能生活43年。常に第一線を走り続け「素晴らしい先輩方に出会ってきた」と演出家の久世光彦さん、映画監督の相米慎二さんら天国の恩人に感謝。「そろそろ、おじいちゃん、おばあちゃんの域に入っていく。静かな小津映画みたいな作品を作りたいな」と今後の展望を明かした。
約1時間の取材を終える頃には、すっかり柔らかい表情で授賞式の出席を約束した。「空中庭園」(豊田利晃監督)以来、19年ぶりのブルーリボン賞だが、前回は舞台の本番と重なり授賞式を欠席。今回が初の登壇となる。(有野 博幸)