東京映画記者会(スポーツ報知など在京スポーツ7紙で構成)が選ぶ「第67回(2024年度)ブルーリボン賞」が28日、決まった。助演男優賞には、「キングダム」シリーズで秦の将軍・王騎役を務めた俳優・大沢たかおが輝いた。授賞式は2月12日に都内で開催される。
19年公開の第1作から24年の第4作「キングダム 大将軍の帰還」まで王騎を熱演した俳優・大沢は、初の助演男優賞に輝き「真面目にやってきたことへの映画とエンタメの神様からのご褒美かな」と目を細めた。
王騎はかねて「実写化不可能」と言われ、人間離れしたキャラクター。オファー当時は、自身の中の葛藤から約2年間の休養中だった。
「ハラハラしながら高いハードルを飛び越えたくて、この一本で引退してもいいというくらいの気持ちで映画に参加したくてこの世界に入った。だけど、だんだん、そうじゃないムードを感じていて、それが許せなくなっていたし、舞台あいさつでお客さんに『ぜひ見てください』って心から言えないことに苦痛もあった」
休養期間に舞い込んできた王騎役。「意外と自分はエンタメ性が高くて華やかな作品が好き。難易度がウルトラ高いからこそワクワクしたし、邦画全体のことを考えても『キングダム』が失敗したら実写化作品への信用が失われると思った。絶対勝たなきゃいけないなって」と再び俳優魂に火がついた。
準備期間含め約8年間は「俳優人生最後の一本になってもいい。観客を驚かせたい」という一心で徹底した役作りに挑んだ。筋トレと普段は食べないジャンクフードで脂肪を付けて20キロ増量。筋骨隆々の巨体を再現し、「重量オーバーでひざが笑っちゃって、立ってるだけでもしんどかった。でも苦しむほどお客さんは楽しんでくれる」と迫力の戦闘シーンを演じた。
王騎役として集大成の本作は、シリーズ最高の興行収入80億円突破の大ヒットとなった。「達成感というよりも王騎から卒業できてほっとしているし、やっぱり物作りは絶対諦めちゃだめだなと学びになった。お客さんを楽しませるために、次は何を犠牲にできるかな」。にやりと笑みが光った。(奥津 友希乃)