昨秋の明治神宮野球大会に出場した札幌大・高松昂之介投手(22)が、来季から四国IL・高知でプレーする。186センチの長身から最速148キロを投げ込む右腕の潜在能力は高い。同じ札幌学生野球連盟所属の札幌学院大から高知に進み、昨年のドラフト4位でDeNA入りした若松尚輝投手(24)の背中を追い、NPB入りを目指す。
未完の大器・高松が夢を追って北の大地を離れる。高校、大学と無名の存在ながらも近年多くのNPB選手を輩出している独立リーグでのプレーが決まり、「過酷な環境ではあると思う。よりプロ野球に近いという認識もあるので、その環境に耐えてプロ野球に行きたい」と意気込んだ。
高校3年時は最速137キロながらも、大学で体重が約15キロ増え、3年夏に148キロを計測。学生野球ラストシーズンの飛躍を期待されたが、思うようには進まなかった。「(4年時に)150キロ出てるっていう勝手な想定はしていたけど、伸び悩んだ。自分のしっくりくるフォームを模索している状態でシーズンが進んでしまった」。昨秋のリーグ戦は同郷のエース左腕・長谷隼兵が5勝を挙げる中、高松は未勝利に終わった。
大学での通算勝利数も1勝に留まり、「どこで野球を続けようかな、野球を続けられるのかなという迷いもあった」。道内社会人チームの練習に参加したが声はかからず、一時は引退を覚悟。野球と並行して就職活動も行い、道内のハウスメーカーから内定を得ていた。しかし、その後に高知から誘いを受け、入団が決定。「レベルの高い独立リーグに決まって一安心」と、寸前で引退危機を免れた。
昨年10月のドラフト会議では、同じく大学時代無名だった若松が高知での2年間を経て、DeNAから指名を受けた。「若松さんの活躍は励みになる。大学では試合の後ろを任されることが多かったけれど、高知では先発に挑戦したい」。視線の先に見据える夢の舞台へ。道産子右腕は野心を抱き、四国から羽ばたいてみせる。(島山 知房)
◆高松 昂之介(たかまつ・こうのうすけ)2002年9月27日、旭川市生まれ。22歳。旭川陵雲小2年時に陵雲ファイターズで野球を始める。広陵中では軟式野球部でプレー。旭川永嶺では3年夏に北北海道大会(独自大会)出場。札幌大では1年秋にリーグ戦初登板し、3年春の札幌大谷大戦で初勝利を挙げた。変化球はカーブ、スライダー、スプリット。186センチ、85キロ。右投左打。家族は両親、弟。