レスリングの日本代表が30日、都内の味の素ナショナルトレーニングセンターで実施中の合宿を報道陣に公開した。新たに五輪4連覇の伊調馨(ALSOK)、12年ロンドン五輪金メダルの小原日登美氏が女子コーチとして加入するなど、新たな体制に。昨年のパリ五輪で計8個の金メダルを獲得するなど大活躍した日本レスリング界が、2028年のロサンゼルス五輪に向けて始動した。
伊調コーチはこれまで、代表で精神面などをサポートする「アントラージュ・コーチ」を務めていたが、本格的に技術指導も行うことに。この日も円になった女子選手を前に実演を交えながら助言した。コーチ就任を決めた際の心境を「複雑というか…。選手時代が長かった分、コーチとしてやっていく覚悟というか、選手とまた違う立場なので、自分の中で選手がやっぱり一区切りついた感じがして…」と本音を吐露した上で「コーチとしての技術をしっかり上げながら、選手にも学ばせてもらいながら頑張っていきたいなと思いました」と抱負を述べた。
小原コーチも身ぶり手ぶりを交えながら技術面のアドバイスも行った。「東京五輪の前に自衛隊体育学校のコーチになりましたが、代表の選手に関わることがなくここまで来たので、次のロス五輪には所属はもちろん、少しでも代表選手が優勝できるように自分自身も成長して頑張りたいと思います」と決意表明した。
選手を指導するにあたって意識したことに関して、伊調コーチは「あまりだらだら自分の思いを話してもしょうがないと思うので、キーワードやポイント3つあげてみたり、これをしっかり意識してやろうということはなるべく簡潔に、なおかつ具体的にわかりやすく言えたらいいなと思いながらやりました」とコメント。小原コーチも「自分がやっていたことを言葉にするのはすごく難しいと感じるのですが、選手が理解しやすいように短く簡潔に伝えるようにしました」と話した。
選手側も歓迎ムード。パリ五輪女子53キロ級金メダルの藤波朱理(日体大)は「小さい時から世界で活躍していた選手、何でも話しやすい存在の方がコーチとして入って下さるのはすごく心強いです」。パリ五輪女子76キロ級で金メダルの鏡優翔(ゆうか、サントリー)も「技術練習も説得力があり、自分が思うことも、はっきりとコミュニケーションが取れる。すごくありがたいなと思いました」と話していた。