巨人の新外国人、前パイレーツのトレイ・キャベッジ外野手(27)が30日、G球場で入団会見を行った。トレードマークの顎ひげを6年ぶりにそって登場。米マイナー時代とはいえ、ドジャース・大谷を上回る打球速度を計測したパワーを武器に「中核を担えるような打者に」と決意を語った。阿部監督の5番打者構想にも応える覚悟を口にし、本拠地・東京Dの看板直撃弾にも意欲を見せた。
来日から一夜明け、キャベッジが“大変身”した姿で会見に現れた。巨人のしきたりに従い、トレードマークのひげを6年ぶりにそり「とても興奮している。健康に力強くシーズンを通して頑張っていきたい」と所信表明。朝にシェービングを済ませると、妻に「あなた誰?」とジョークを飛ばされたという助っ人は「確かにちょっと感触は違うし、顔が若干風に当たって冷たいと感じている。ただすぐに適応できると思う」と笑った。
23年にマイナーの3Aで3割、30本塁打、30盗塁の「トリプルスリー」を達成した逸材だ。22年に打球速度194・7キロをマーク。ドジャース・大谷の自己最速191・8キロを上回り、ヤンキース・ジャッジの同194・9キロに迫る数値を残した。圧倒的なパワーが武器だが、出塁などチームへの貢献を重視した上で「力強いスイングと強い打球を飛ばすことは自分の恵まれた能力の一つ。中核を担えるような打者になりたい」。23年はマイナーで148・4メートルの特大弾も放っており「目標ができた」と東京Dでの看板直撃弾にも意欲を燃やした。
阿部監督の期待にも応える覚悟だ。チームは昨季、年間通して5番打者を固定できず、DeNAとのCS最終ステージでは4番の岡本が勝負を避けられて敗退。指揮官が「キャベッジに5番を打ってほしい」と構想していることを聞くと「監督の期待にもしっかりと応えたいけれども、どこの打順を任されようとも得点を量産できる打者になりたい。どんな役割でもチームに貢献できる打撃をしていきたい」と決意を示した。
日本との関わりも深い。23年のエンゼルス時代は大谷と、昨季はアストロズで菊池と同僚だった。特に菊池とは家族ぐるみで親交があり、日本球界挑戦に向けても助言を授かった。「何でも受け入れる姿勢」の重要さを説かれたと明かし「新しいチームメートのバックグラウンドがどうであっても、優勝して日本一という同じ目標に向かって戦う仲間である事実は変わらない。しっかりと受け入れて、そして受け入れてもらうことを意識していきたい」。教えを胸に積極的にチームの輪に飛び込んでいく。
このオフは週に5日程度のジム通いを経て、体重は4~5キロ増の107キロと仕上がりは順調。「体の状態は非常にいい。春季キャンプ、シーズンに入っていく準備はできていると思います」と胸を張った。背番号13のユニホームを身にまとい、リーグ連覇、日本一奪還の使者になる。(小島 和之)
◆トレイ・キャベッジ(Trey Cabbage)1997年5月3日、米テネシー州生まれ。27歳。グレインジャー高から2015年ドラフト4巡目(全体110位)でツインズ入り。22年からエンゼルスとマイナー契約を結び、23年に3Aで30本塁打、32盗塁、打率3割6厘でトリプルスリーを達成。同年7月に大谷が先発登板した試合でメジャーデビューし、22試合に出場した。昨季はアストロズで45試合に出場し、パイレーツに移籍。188センチ、107キロ。右投左打。
◆キャベッジに聞く
―自身の長所は。
「最大の長所は闘争心。攻撃ではパワー、守備では積極性、走塁ではスピードを見ていただきたい」
―日本野球の印象は。
「文化はアメリカと決定的に違う。アメリカの野球は楽しみつつプレーするというスタイルですが、日本のいい意味での軍隊的な野球が非常に興味深いので、これから適応できるように」
―大谷とプレーして印象に残った言葉は。
「確かオークランドでの試合で、自分は二塁走者でヒットで一気に生還した。ベンチに戻ると、大谷選手から『思ったより足が速い』と言われた。自分が二塁、大谷選手が一塁でダブルスチールのサインが出た時には、ちゃんと走ってくれると認識してくれたみたいで『非常に安心した』と言ってくれて自信になった。実際にサインが出たことはなかったけれど、もし将来メジャーに戻る機会があれば、また彼と一緒に出塁して2人でスタートを切りたい」
―巨人で話してみたい選手は?
「一人挙げるとすれば、田中将大投手。彼がヤンキースで活躍していた時からずっとプレーを見てきたし、いろいろ話を聞いてみたい」