学生３大駅伝２冠で第１０１回箱根駅伝（２、３日）では３位だった国学院大のエース・平林清澄（４年）が、９月の東京世界陸上（国立）の代表選考を兼ねた「別府大分毎日マラソン」（別大マラソン、２月２日）に出場する。スポーツ報知のインタビューに応じ、これまでの「箱根への道」と、今後の「箱根からの道」について語った。最後の箱根は２区８位と不本意な結果に終わったが、心身ともに切り替えて、東京世陸の日本代表の座を全力で取りに行く。
箱根駅伝２区の激走から、ちょうど１か月。平林は別大マラソンに臨む。
「正直に言えば、箱根前はなかなか調子が上がりませんでした。その中でできることをやりました。結果は良くなかったけど、次につなげなければいけない。今は『次のマラソンで頑張るぞ』という気持ちです」
現４年生世代で唯一、３大駅伝１２大会にフル出場。すべて主要区間を担い、平均区間順位３・８３位の結果を残した。数字だけを見れば、最後の箱根２区８位が最も区間順位が悪い。チームとしても出雲駅伝（昨年１０月）と全日本大学駅伝（昨年１１月）で快勝したが、箱根は３位だった。
「最後（箱根）に勝てず、じわじわと悔しさを感じています。力不足でした。結果を受け止めています」
主将の上原琉翔（３年）は「もう一度、箱根優勝を目標に掲げます」と話す。国学院大のユニホームを着て別大マラソンを走る平林は、後輩を後押しするためにも好走を期す。
「来季は上原を中心に後輩たちがやってくれると思います。僕も別大マラソンでは国学院大を背負って走ります」
箱根を終え、疲労回復に努めた後、ともに別大マラソンに出場する高山豪起（３年）と約１週間、沖縄・宮古島で練習を積んだ。その後、１泊２日で大分市を訪れ、全コースを試走。準備を整えている。
「やっと調子は上がってきました。高山も強いです。コースの印象はほぼフラット（平たん）ですけど、所々にアップダウンもある。一番のポイントは結局、当日の風次第だと思います」
昨年２月の大阪で初マラソン日本最高＆日本学生新記録の２時間６分１８秒で優勝。９月の東京世界陸上代表の男子マラソン参加標準記録２時間６分３０秒（有効期間２３年１１月～２５年５月）を突破し、有力な日本代表候補に名乗りを上げた。代表選考基準のひとつのジャパンマラソンチャンピオンシップのシリーズ４（２３年４月～２５年３月）のポイントランク１位を狙っている。昨年８月の北海道に練習を兼ねて出場（２時間４１分１９秒）。今回は事実上、２度目の“勝負マラソン”となる。
「初マラソンは『やってみようぜ』という思いしかありませんでしたが、今回は『日本代表を取る』という強い思いがあります。（ポイントを稼ぐために）日本人トップを取らなければならない。それを含めて、初マラソンと同じくワクワクしています」
箱根から世界へ。平林清澄は、新しいスタートラインに立つ。（竹内 達朗）
◆平林 清澄（ひらばやし・きよと）２００２年１２月４日、福井・武生市（現越前市）生まれ。２２歳。武生五中ではバドミントン部に所属しながら駅伝に出場。武生二中出身の青学大・田中悠登主将と小中学校時代からの旧友。美方高から本格的に陸上を始め、２１年に国学院大経済学部に入学。自己ベストは５０００メートル１３分５５秒３０、１万メートル２７分５５秒１５、ハーフマラソン１時間１分２３秒。卒業後、実業団のロジスティードに進むが、引き続き、国学院大を練習拠点として前田康弘監督（４６）の指導を受ける。１６８センチ、４４キロ。
◆マラソン男子の東京世界陸上への道 日本は最大３枠。参加標準記録（２時間６分３０秒）を突破した上で、ポイントで争うジャパンマラソンチャンピオンシップ（ＪＭＣ）シリーズ４（２３年４月～２５年３月）で優勝すれば内定。有効期間内に鈴木健吾が持つ日本記録（２時間４分５６秒）を更新し、東京マラソン（３月２日）終了時で最も記録の良い選手も内定。そのほか選考レースで参加標準記録を突破した選手の中から記録、順位などを総合的に判断し、本大会で活躍が期待されると評価された選手を選出する。
〇…国学院大の次期エース候補の高山も別大マラソンに挑む。初マラソンに向けて昨夏から平林と一緒に４０キロ走などに取り組んだ。「３０キロまでは１キロ３分ペースで行ける感覚はあります。やる以上は本気で平林さんと勝負します」と意気込む。チームの絶対エースに対しても臆することがないのが国学院大のチームカラーであり、強さの理由だ。今回の箱根は５区１４位と苦戦したが、来季は花の２区を狙う高山は「そのためにも今回のマラソンが大事になります」ときっぱり話した。