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「思っていたより重い」横綱・豊昇龍、太めの綱は叔父の朝青龍流 土俵入りは元武蔵丸が指導

スポーツ報知 2025年1月31日 5時0分

 大相撲の第74代横綱に昇進した豊昇龍(25)=立浪=が30日、初めての綱打ちと土俵入りの稽古を東京・台東区の部屋で行った。完成した重さ7・8キロ、長さ4・1メートルの綱を締め、同じ出羽海一門の武蔵川親方(元横綱・武蔵丸)から雲竜型の土俵入りを指導された。番付最高位の重みを感じながらも「満点」と自画自賛。武蔵川親方からも「覚えるのが早い。うまい」と“花丸”をもらった。31日に東京・明治神宮で横綱推挙式と奉納土俵入りを行い、叔父の元横綱・朝青龍も訪れる予定だ。

 横綱土俵入りの見せ場となるせり上がりは、初稽古とは思えない迫力だった。「なかなか難しい」。真新しい純白の綱を締めた豊昇龍は、最初は武蔵川親方に質問しながらぎこちない動きだった。2回目になると硬さが消え、軽く所作を確認して臨んだ3回目には滑らかな雲竜型を披露。特に鋭いまなざしでのせり上がりは美しく、力強さもあって風格を感じさせた。

 せり上がりで右手を伸ばしたとき「石が乗っているように」などの助言をしながら15分の指導を終えた武蔵川親方は「うまい」とうなり、「2、3回ですぐにできた。勘がいい。覚えるのが早いね。せり上がりがきれいだった」と“花丸”を付けた。叔父の元朝青龍ら先輩横綱の映像などは見ないで臨んだ豊昇龍も「もう満点です」と胸を張った。

 午前9時過ぎから始まった綱打ちには、元大関・御嶽海ら出羽海一門の力士たちが参加。豊昇龍が上がり座敷から見守る中、ねじり鉢巻き姿で「ひい、ふの、み」などと威勢のいいかけ声と太鼓の音に合わせ、3本の綱をより合わせた。同一門からの横綱誕生は武蔵丸以来26年ぶりのため、通常より長い約2時間をかけて完成した。「子どもの頃に見ていた叔父さんは、太い方が好きだと協会の人から聞いた」と、元朝青龍を参考に太めの綱を希望して重さは7・8キロ、長さは4・1メートル。できた綱を付け人に締めてもらうと「重い。思っていたより重い」と言いながらも、声は弾んだ。

 これからは単純な綱の重みだけではなく、角界を背負う横綱としての重みがのしかかってくる。「ずっと夢に見てきた。自分の責任が重くなる」。31日には奉納土俵入りが行われ、昇進後初めて公の場で披露する。武蔵川親方が現役時代に使った波が描かれた三つぞろいの化粧まわしを借り、太刀持ちは幕内・平戸海(境川)、露払いには兄弟子の明生を従える。「もう緊張している」と話すが、どこかうれしそう。新横綱・朝青龍が明治神宮で初めて土俵入した2003年1月31日から、ちょうど22年。おいが第74代横綱として雲竜型を披露する。(山田 豊)

 〇…元横綱・朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏を叔父に持ち、豊昇龍のいとこにあたる天狼星(18)=錣山=が30日、東京・両国国技館で行われた相撲教習所の入所式に出席した。横綱に昇進した豊昇龍について「立派だなと思う。叔父さんも横綱だったので、すごい」と刺激を受けた様子だった。初場所で初土俵を踏み、「(来場所から自分も)番付に名前も載るので、これから追いかけれるように頑張る」と誓った。

 ◆横綱土俵入りQ&A

 Q 横綱の作り方は?

 A 〈1〉芯に銅線を入れる〈2〉もみほぐした麻と木綿でくるんだ細い綱を3本つくる〈3〉部屋や一門の力士が集まり、白手袋を着け、かけ声に合わせ3本の綱を1本にする。横綱は東京場所ごとに、新しいものをつくる。結び方は不知火型は輪が2つ、雲竜型は輪が1つ。

 Q 雲竜型、不知火型の違いは?

 A 雲竜型は見せ場のせり上がりで右手を斜め前方に出し、左手の先を脇腹に当てる。右手が攻め、左手が守りの攻守兼備を表すとされる。大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花らがこの型。もう一つの不知火型は、せり上がりで両腕を左右に大きく広げて攻めの姿勢を表現。白鵬、照ノ富士らが披露した。

 Q 太刀持ち、露払いとは?

 A 横綱と同部屋か一門の幕内力士が務める。太刀持ちは右肘を真横に張るように太刀を持ち、土俵入りでは横綱の後ろから入場する。露払いは横綱の前を歩き先導する役目。土俵上では横綱から見て、太刀持ちが右、露払いが左に位置する。原則として上位力士が太刀持ちを務める。

 Q 土俵入りの所作は?

 A 横綱は土俵に上がると、両腕を左右に広げて塵浄水(ちりちょうず)を行った後、土俵中央に進み拍手を打ち、四股を踏んでからせり上がる。せり上がりは腰を十分に落とした下の構えから、中の構え、上の構えへと、小刻みに足を運びながら上体を起こす。最後に二度四股を踏み、二字口(上がり口)に戻って塵浄水をして土俵を下りる。

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