フジテレビと親会社のフジ・メディア・ホールディングス（ＨＤ）が３０日、東京・台場の本社で定例の取締役会を開催した。２８日付で就任したフジテレビの清水賢治社長（６４）が取材に応じ、フジサンケイグループ代表で同局取締役相談役の日枝久氏（８７）に辞任を要求しなかったことを明かした。
元タレント・中居正広氏（５２）の女性トラブルに端を発する問題で、経営体制などの見直しが急務とされる同局。この日の取締役会には約２０人の役員が出席し、４時間超にわたって議論が行われた。
進退に注目が集まる日枝相談役について、清水社長は「取締役会には出席されました」と説明したものの、日枝氏を含む役員の刷新は「そこまでの議論にはなっておりません。（日枝氏の）発言内容についてもここでは控えさせていただきます」と話すにとどめた。
日枝氏は、２７日に同局が行った会見には不参加。港浩一前社長（７２）らの辞任が発表されたものの、会見では日枝氏の責任を追及する怒号が飛び交った。この日も報道陣から「日枝氏の辞任は議題に上がったか」と問われたが、清水社長は間髪入れずに「いいえ」と否定。「日枝氏から辞任の申し出はあったか」とも質問を重ねられると、「それについてもないです」。４０年以上経営に関与するグループの“ドン”の進退にはメスを入れない姿勢を強調した。
取締役会では、社外取締役７人が提言した「経営刷新小委員会」の設置が承認されたと報告し、「社外取締役がメンバー。様々なことについて提言していただく」と透明性のある経営を目指すと説明。新たな内部での取り組みとして「社内の次世代を担う若手のチームを編成して、再発防止とフジテレビ再生のプロジェクトチームを作りました」とした。また、第三者委員会の調査に協力した社員を保護することを会社として決議したと述べた。
○…清水社長は、週刊文春が中居氏を巡る記事について、当初は女性がフジ社員から会食に「誘われた」としたが、その後の取材で「中居氏に誘われた」などと一部訂正したことについても言及。「取締役会では（同誌に対する）厳しい意見が多かった」と明かした。同誌の正式な訂正と謝罪は、フジ会見後の２８日であったことから「なぜあのタイミングで出したのか」と報道姿勢を疑問視し、法的な措置などは「あらゆる選択肢は検討にありますが、冷静に対応していく」とした。
○…フジテレビはこの日、今春入社予定の内定者向けに説明会を行った。関係者によると、説明会では担当者がここまでの流れを説明し、会社が混乱の渦中にあることを謝罪。新入社員が安心して働けるように努めるという趣旨の説明があったという。清水社長は２７日の会見でも「新入社員の皆さまは極めて不安な日々を送られていると思います。深くおわびしたい」と謝罪し「（４月までに）安心できる材料を作っていきたい」と語っていた。