16歳の中原旺助(NISEKO B&J)が、1月7~11日にカザフスタンで開催されたフリースタイルスキー世界ジュニア選手権に初出場し、男子モーグル種目(7日)で初優勝を果たした。2030年フランス・アルプス冬季五輪を目指す少年は「唯一無二のパフォーマンスをできるようにこれからも精進します」と意欲的だ。
海外参戦2シーズン目で臨んだ大舞台で輝いた。1位で迎えた決勝2本目。標高約2800メートルにあるコースで、エアで大技「フルツイスト」(伸身後方1回転1ひねり)を成功させ、ターンもミスなく滑りきった。「憧れの舞台だった。決勝もベストの滑りができたし、うれしかった」。03年大会の西伸幸(10年バンクーバー、14年ソチ五輪代表)以来、22年ぶりの日本人男子の頂点に表情を崩した。
小学5年からモーグルを始め、札幌・ばんけいスキー場を練習拠点にして力を蓄えてきた。29日には札幌市の秋元克広市長を表敬訪問し「市民の皆様に応援してもらえるような選手を目指します」と決意を明かした。
今大会を制した中原は3月11、12日にイタリア・リヴィーニョで行われるW杯に招待された。シニア選手と争う、またとない機会である一方で、成績次第では来年のミラノ・コルティナ五輪が視界に入ってくる。それでも「今は2030年五輪に向けて頑張っているところ」と焦りはない。
2月1、2日にばんけいスキー場で開催される「第25回ばんけいモーグル競技会」に出場予定。中原は「将来は五輪で金メダルを取りたい」と大きな夢を描く。小さな光を放った原石をひたむきに磨き続ける。
(飯塚 康博)
◆中原 旺助(なかはら・おうすけ)2008年2月8日、札幌市出身。16歳。小学5年からモーグルを始める。札幌陵北中2年時に出場したジュニアオリンピックで3位、3年時は2位に入った。中学卒業後は通信制のS高に在籍。NISEKO B&J所属。