陸上の第108回日本選手権・室内競技の大阪大会が2月1、2日に大阪城ホールで行われる。女子走り幅跳びに橋本詩音(静岡雙葉高3年)が出場。昨年6月のU20日本選手権では6メートル29の東海高校新で優勝した県期待のジャンパーが、年齢区分のU20ではなく一般にエントリー。「U20の室内記録(6メートル20)超えで3位以内」を目標に掲げた。
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日の丸候補の女子ジャンパーが、高校生ラストの大会に挑む。18歳の橋本が年齢区分のU20ではなく一般の女子走り幅跳びに出場する。「今後、高校生の大会があるならタイトル狙いでU20に出たけど、春から大学生でシニアの選手と戦うことになるので、少しでも空気感を味わうためにも一般で出ようと思った」。3月に卒業を控える女子高生が、今後を見据え、大阪に乗り込む決意を明かした。
“飛び級”でも十分、上位を狙える力は持っている。昨年のU20日本選手権で優勝した自己記録の6メートル29は、今大会の一般ランキングでも2位。室内での自身のベストは1年前にマークした5メートル87だが、今回は室内のU20日本記録の6メートル20超えと、「3位以内で表彰台」を目標に掲げる。
日本陸上界期待の逸材の一人だ。女子800メートルの日本記録保持者・久保凛(東大阪大敬愛高2年)や、同100メートルで昨季の高校世代3冠を達成した小針陽葉(あきは、富士市立高3年)らが名前を連ねるU20オリンピック育成競技者として昨秋と今年1月中旬の2度、研修合宿に参加した。参加者は高校、大学生の各種目1~3人の全国トップレベル選手ばかり。「同年代の強い選手と練習できて刺激になりました」。未来の日本代表候補の中で鍛錬を積む。跳躍組は2月下旬にも韓国合宿が組まれている。
4月から筑波大へ進学する。「早く大学生活に慣れたい。レベルの高い選手が多いので、質のいい練習ができるのも楽しみ」。体育専門学群を専攻し、教員免許の取得も視野に入れる。「高校時代から夕食は自分で作っていたので一人暮らしに不安はないです」。得意料理は、大会前日の勝負メシにしていた「豚のショウガ焼き」。入学前の3月中旬から高知で行う合宿にも参加を予定している。
将来の夢は、2028年の大学4年時に開催されるロス五輪出場だ。「年齢的にラストチャンスなので今年中にU20日本記録の6メートル44を塗り替えて(6メートル)50まで記録を伸ばしたい」。将来性十分な静岡生まれのヒロインが、今季を占う大事な初戦でビッグジャンプを見せる。
(塩沢 武士)
〇…橋本が昨秋の国スポ後から跳躍の一連の動きを見直している。踏み切りから空中で浮きすぎる点を改善しようと助走を変えた。「もっとストライドを大きくして、スピードを上げることを心がけている」。前への推進力を付けて高さではなく、より距離を出すことを意識。「大阪室内で手応えをつかめたら」と、力を込めた。
◆橋本 詩音(はしもと・しおん)2006年10月10日、静岡市葵区生まれ、18歳。小4の時に陸上を始めた。賤機南小から中高一貫の静岡雙葉に進学。昨夏の全国高校総体では走り幅跳びで6位入賞。両親と双子の妹との4人家族。162センチ。