フジテレビ系「ぽかぽか」(月~金曜・午前11時50分)が31日に放送され、俳優の津田寛治が出演。デビューのきっかけを語った。
津田は、俳優を目指すにあたり監督の所属事務所に行き、自身のプロフィールを渡したり、ポストに投かんしていたと告白。また、老舗録音スタジオの1階にある喫茶店のウェイターをしていたと明かし「録音スタジオにはいろんな監督が来てたので、『やっぱりここでも渡さなきゃ損だよな』と思って。当時そこを経営していた人の奥さんがすごくいい方で『カンちゃんドンドンプロフィール渡しなさい。なんか決まったらバイト休んでいいから、とにかくドンドン渡して売れなさいよ』と言ってくれた」と回想した。
その喫茶店は様々な監督が訪れていたというが、津田は最も驚いた監督は北野武だと振り返った。「『この人コメディアンなのになんでこんなにすごいのを作るんだ』と思っていたから、これは渡すしかない」と思ったものの周りにはスタッフも多く、さらには「気を抜いたら喫茶店の角で思い詰めたような顔をしている青年が、北野監督のところに行って“ザーーー!”と滑り込み土下座をして『殿、弟子にしてください』と言っていた」と衝撃的な光景を明かし「周りのスタッフに『ちょっとこっちで話を聞くので』と言われているのに、そんなウェイターまでやったら『こないぞ』となってしまう」と困っていたと話した。
考えた末に、トイレだけは1人で行くだろうと考え、そのタイミングで「北野武さんですよね?」と声をかけ、驚かれるも「僕、監督の作品大好きなので、俳優みたいなのを目指していて、うまく言えないので手紙を書いていて、あとプロフィールもあって…」と不審者みたいだと思いつつも手紙とプロフィールを渡したと告白。「気がついたらずっと僕の話を『はい。はい』って上司の話を聞くような感じで聞いてくれて」と受け取ってもらえたと明かした。
それから1年経っても、音沙汰がなかったというが、ある日突如現れ「君、まだ俳優目指してるか?頑張ってね」と声をかけられたという。「なんとかつながった」と安心したが、喫茶店の奥さんが「監督、ひどいじゃないですか!うちの子1年待ってたんですよ!聞いたら明日クランクインじゃないですか!おかしいじゃないですか!なんでオーディションに呼ばないんですか!」などと詰め寄ったと明かし、スタジオは仰天。北野監督はそのままスタッフとの打ち合わせに戻ってしまったという。
その後、津田は「終わった…」と思いながら皿洗いをしていたところ、北野監督から「あんちゃん!出番だよ」と呼ばれ「出すから。今回すいませんだけでごめんな」とオファーが舞い込んだという。
「もし逆の立場だったら覚えてただけであれなのに、店のおばさんに見損なっただのなんだのぼろくそ言われて『なんでこのおばさんに言われなきゃいけないんだ』ってなる。『あーわかりました、わかりました』って普通それで終わる」と語るも「その時の監督は申し訳ないことしたと思ってくれていた。それが今考えるとすごいことだな」と感動したことを明かした。
感動話で終わるかと思いきや、MCのハライチ・澤部佑は「店のおばちゃんが1番、北野作品に出てきそう」と突っ込み。インパクトある登場人物にスタジオは終始笑いに包まれた。