4人組ダンスパフォーマンスグループ・s**t kingz(シットキングス)がスポーツ報知の取材に応じ、1日に開幕する作・演出の舞台「See」(9日まで東京・新国立劇場中劇場)の意気込みを語った。(加茂 伸太郎)
1月中旬の都内の稽古場。互いに意見しあい、その場で繰り返されるスクラップ&ビルド。三浦大知やBLACKPINK、東方神起ら国内外のアーティストの500曲以上の振付を手がけてきた実力者とあって、柔軟な発想と応用力の高さには目を見張るものがある。時折笑い声も生まれ、メリハリのついた雰囲気の中、1つ1つのシーンが作り上げられていった。
今作の企画が立ち上がったのは2023年。「どんな内容にするか、それをどう表現するか。会議室で話す機会が増えて。なかなかリハーサルにたどり着けなかった」(kazuki)というほど、議論に議論を重ねた。
shoji「いろいろなアイデアを出しあったけど、いくつもボツになった。葛藤し、もがき、苦労する4人。僕らのありのままを、舞台上で表現できたらなと思い、話し合いで出たアイデアを具現化させて、次から次へと表現していこうと決めました」
テーマは「See」。見えるもの、見えてないもの。見たいもの、見たくないもの。このテーマで作品制作を始めた4人の男たちだったが、「見る」の解釈が異なり、なかなか制作が進まない。納得のいく「見る」の答えが見つからず、思考の沼にハマっていく。
kazuki「いつも思うけど、(稽古期間中は)受験みたい。大学受験は経験してないけど、テスト期間が始まった!みたいな。あんまり遊べないな、みたいな感覚になります(笑)」
NOPPO「日々試行錯誤。シンプルにダンスで感動させたいし、新しいs**t kingzの姿を見せられたらと思います」
4人は23年に歌唱しないダンスグループとして、史上初の日本武道館公演を開催。24年には初めて音楽&ダンスフェスを主催し、大成功で終えた。
shoji「これまでは『ダンサーがテレビに出てる』だったのが、『シッキンが出てる』って言われるようになってきた。『シットキングス』という存在が広がりをみせている感覚はあります」
NOPPO「たくさんのメディアに出させて頂いて『世界的ダンサーなんだ』と、敷居上がっているかもしれない。でも、そんなことはなくて。舞台を見に来たら『メチャクチャ面白いことやってるじゃん!』ってギャップを楽しんでもらえると思います」
シッキンの舞台に、音楽は欠かせない。今作は、主にOguriが劇中音楽のディレクションを担当した。
Oguri「聴いていて幸せを感じるような曲を選びました。経験を重ねて、自分たちも音楽で遊べるようになってきた。以前は音楽と距離があって、誰かが作ったものをそのまま踊っていたけど、制作過程やアレンジに“遊び”を取り入れられるようになった。コミカルな要素を、ダンスだけじゃなく、音楽にも反映できるようになったので、パワーアップしているのは間違いないと思います」
shoji「めちゃくちゃいい曲なので、早く聴いてほしいです」
一見深そうで実は浅い。そう思いきや、浅そうで意外と深い―という難解なテーマを劇中、遊び心満載で届けていく。
Oguri「ありのままを見せたい思いもあるし、常に背伸びし続けたい自分たちもいる。どっちかに偏ると、シットキングスらしさを失ってしまうので、その両方のバランスを意識したい。緩急というか、ギャップを今まで以上に作れるといいなと思っています」
kazuki「深読みしがいのある意味を持たせて(振りを)作ったので、考察が大好きな人にはたまらないと思います。見に来てくれた方たちには、自分たちそれぞれで(僕らのメッセージの答えに)たどり着いてほしい。いつか、どこかで答え合わせできれば」
NOPPO「東京公演のみなので、現場での熱さ、臨場感を特に意識してパフォーマンスしたい。セリフのないところの良い部分は、見方によって、様々な受け取り方ができること。見に来てくれた人を感動させられるよう、より気を引き締めてやっていきたい」
shoji「みんなの心を、揺さぶりまくろうと思って作りました。全力で作ったぜ!っていうのを、ちゃんと届けたいですし、生で感じてほしいです。僕自身は、誰よりもステージで汗をかいていたいですね」
◆s**t kingz(シットキングス)2007年結成。これまで25か国・地域以上を訪れ、ダンス指導などを実施。10、11年に全米屈指のコンテスト「BODY ROCK」で優勝。22年、結成15周年記念舞台「HELLO ROOMIES!!!」を上演。TBS系「音楽の日」、テレビ朝日系「ミュージックステーション」「関ジャム」にはバックダンサーではなく、アーティストとして出演。