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キャンプ初日から巨人・田中将大をマンツーマン指導の久保巡回投手コーチ「勝ってほしいんですよ」…「魔改造」の狙いは

スポーツ報知 2025年2月2日 5時5分

 プロ野球は1日、全12球団がキャンプインした。巨人の宮崎キャンプでは、前楽天の田中将大投手(36)が新天地で再出発。初日からいきなり久保康生巡回投手コーチ(66)による1時間超のマンツーマン指導を受け「本当に幸せ」と周囲への感謝、野球愛を改めて口にした。日米通算200勝までは残り3。背番号11の真新しいユニホームに袖を通したベテランが、復活への第一歩を踏み出した。

 田中将の再生を託された久保巡回投手コーチが、キャンプ初日に見せた「魔改造」の狙いを説明した。

 「目的は『もう少しシンプルに動こう』と。今までの動きを度外視して、体をシンプルに使う。それが今日の一番のツカミ」

 入団が決まった昨年12月から右腕の本格研究を始め、楽天で開幕24連勝した13年と日本復帰以降の映像を年度別に比較。13年は球を手放すリリースポイントの位置が高く「叩く」ように力を最大限伝えていたと分析し「勝っている時期はやはりすごく“正しい”。必然的なものがある」とフォーム改造に踏み切った。

 追い求めるのは「縦回転」のフォーム。長年第一線で戦い続け、試行錯誤を繰り返してきたがゆえに投げ方が“複雑化”していたといい「『体をたくさん使おう』とか『下半身をもっと使おう』とかすると重心がどんどん落ちてしまって(右)手が下がる」。軸足が沈み込んでしまう動きに出力が出ない原因があると見抜き「例えば広い路地ではなく狭い路地で投げられるフォームにするには(動きが)縦長になってこないといけない。その感覚を呼び起こすことで昔のような形に戻っていく」と判断した。

 マウンドの逆傾斜を利用した練習も「上にのぼろうとすると軸足をしっかり立てられる」と重心の位置を“全盛期”の高さに戻す狙いがある。過去には菅野も軸足がつぶれる同様の課題に直面。久保コーチによる傾斜を用いたアプローチなどで課題を克服し「非常に似た現象を起こしつつある」。菅野を前年の4勝から15勝へと導いた実績があるからこそ、自信もある。

 あえて5メートル程度のネットスローから始めたのも、正しいフォーム固めこそが復活への近道だと考えたから。「勝ってほしいんですよ。最初に彼との約束事で『仲が悪くならないようにやろうね』と言って。非常にいい進み方をしてくれている。今からまた新たなものが見えてくるんじゃないかな」。まず第一歩を進めた。(堀内 啓太)

 ◇久保康生巡回投手コーチ 福岡・柳川商(現柳川高)から76年ドラフト1位で近鉄に入団。先発、救援の両方で活躍し、82年には7試合連続を含む15完投で12勝。88年途中に阪神に移籍し、90年には救援で55試合に登板した。96年途中に近鉄に復帰し、97年に引退。通算550登板、71勝62敗30セーブ、防御率4.32。引退後は近鉄、阪神で1軍投手コーチ、ソフトバンク2軍投手コーチなどを歴任し23年から巨人で巡回投手コーチ。近鉄時代には日米通算176セーブの大塚晶文や同通算170勝の岩隈久志を指導。阪神ではリリーフだったメッセンジャーを先発に転向させてNPB通算98勝に導いた。巨人では、菅野智之の再生にも大きく携わった。

 【マー君に聞く】

 ―背番号11になって気持ちの変化は。

 「自分からは見えないので(笑)。気にはしていないです」

 ―久保コーチからの指導は自らお願いしてか。

 「昨日(1月31日)もそうですし、これまで何度かお話はして『こういう方向で進めていこうと思うんだけどどう思う?』とお互いコミュニケーションを取って『お願いします』と」

 ―マンツーマンで指導されるのは久々なのでは。

 「今までも拒否していたわけではない(笑)。断っていたわけじゃないです」

 ―多くの投手を見てきた久保コーチだからこそ雰囲気づくりも上手。

 「もちろんそうです。本当にありがたいなと思って、いろいろ教えていただきました」

 ―どんな第1クールに。

 「一日一日、頑張ります」

 ◆阿部監督「(久保コーチが)本人と昨日も映像を見ながらいろいろとやっていただいていたので一任して。本人も素直に受け入れて今日もやってくれていた。良くなることだけを信じて見届けたい。すごい前向きにやってくれているから、こっちは見守るだけだし、久保さんの熱意にも感謝したい」

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