東京六大学野球リーグの慶大は1日、横浜市内の同校グラウンドで来春入学予定の新入生22名が合流した。福島の強豪・聖光学院の竹田一遥内野手は自ら「生涯1番です」と言うほど、生まれながらのリードオフマン。50メートル走5秒8の俊足で、神宮のダイヤモンドを激走する。
聖光学院から慶大に合格したのは史上初。日々のハードな練習の中、学業にも全力投球した。定期テストは常に1位で、オール5の成績を残した。AO入試環境情報学部に合格。いい顔でキャッチボール、ランニングと汗を流した。
「憧れのチームでスタートラインに立てたのは、うれしかった。やっと始まったなと決意が固まりました。同級生や先輩方と関わる中で、『このチームで日本一を目指したいな』と思いました」。頼もしい言葉が、自然と口から出た。
新潟市の出身。小学時代に地元で見た毎年恒例の「次世代育成大学野球サマーリーグ」で、グレーの「KEIO」のユニホームに心を奪われた。「幼い頃に憧れて、なんとしても『KEIO』のユニホームで神宮でプレーしたい、日本一になりたいと思いました」。憧れはエネルギーに代わり、福島の地で心身を鍛錬。聖光学院初の慶大進学者となり「切り拓いていくことの難しさはありましたが、慶大でやりたい気持ちが強かった。そこに向かって没頭できたと思います」と振り返った。
三菱自動車岡崎、JR東日本と指揮官を歴任した堀井哲也監督(62)にとっても、聖光学院から選手を預かるのは初めて。昨年12月には同校へ足を運び、練習を視察した。「相当厳しくやってますよね」と多様な野球文化の注入を歓迎した。
竹田は「強みはチームのために働ける献身的な姿勢です。春からベンチに入って、先輩たちのうれし涙を見せられるような選手になりたい。最終的には最多安打記録を破ってみたい」と泣かせるセリフで結んだ。聖光魂とエンジョイ・ベースボールの融合に期待が高まる。(加藤 弘士)