今春センバツに出場する聖光学院(福島)が福島・いわき市で2日間行った1次合宿を打ち上げた。7日から始まる2次合宿に向けたメンバー選考を兼ねており、2日間で紅白戦5試合を行った。斎藤智也監督(61)は「練習で見えないことが試合で見えた。来て良かったと思う合宿だった」と充実感をにじませた。
この2日間で存在感を示したのは、秋は背番号16だった大宮行雲(いくも)内野手(2年)だ。初日の第1試合は5番に座って4打数2安打2打点、2日目も第1試合に1番で出場して5打数3安打1打点。「良くなかった部分をしっかり改善することができた。ここでやってやろうと思っていたので良かった」と手応えを感じていた。
昨年11月、神宮大会直前の練習試合でホームに滑り込んだ際に左肩を脱臼。手術を提案されたが、メスを入れるとセンバツにも間に合わない可能性があったため、手術はせずに治療する方向に決めた。神宮では肩を固定してベンチ入りしたものの「何もできずつらかったし悔しかった」。それでも「自分を見つめ直す機会」前向きに捉え、練習ができなかった2カ月間は打撃フォームの見直しや、下半身強化に取り組んで体重を7キロ増の77キロまで増やすなど努力を重ねた。約3週間前に本格復帰すると「左ひじの使い方が修正できて、詰まってしまうくせが取れてきた」とこの合宿中も2日間で二塁打1本、三塁打1本と長打も飛び出した。
行雲(いくも)という名前は「行雲流水」の四字熟語。「自然の成り行きに任せるということなので、流れるままに、という意味を受け止めて(けがの期間も)過ごしました」と名の通り、けがと向き合って鍛えた成果が出てきた。センバツでは三塁手でのレギュラー定着を狙う。昨秋は後輩の猪俣陽向(1年)が背番号5を背負っただけに「先輩として負けられないなという思いはある」と闘志を燃やす。不完全燃焼の秋の雪辱を果たすため「出られるチャンスがあったら、チームのために、自分のやれることをしっかりしたい」と着々と準備を進める。(秋元 萌佳)