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石井一彰、「レ・ミゼラブル」ジャベール役で評価うなぎ上り「まだ伸び盛りだと思っています」、「科捜研の女」にも出演

スポーツ報知 2025年2月2日 17時49分

 舞台を中心に活動し、ドラマ「科捜研の女」(テレ朝系)の刑事役でも知られる俳優・石井一彰(40)が、東京・帝国劇場のクロージング公演として上演中のミュージカル「レ・ミゼラブル」(2月7日千秋楽、3~6月に全国公演)でトリプルキャストで演じているジャベール警部役が話題を呼んでいる。主人公ジャン・バルジャンを追い詰める役として知られる。

 07年の石井のデビュー作がレミゼ。この時に演じたのはフイイという学生役だった。それから17年。舞台俳優として着実に実力を付け、今回、オーディションで大役をつかみとった。「出演が決まった時、喜びよりも責任感、使命感の方が大きく感じられて。普段の生活から自分を律して誠実に生きなければ、と思っています」

 法の番人ともいえるジャベール。石井の解釈はこうだ。「法律は絶対で正義だと信じて疑わない人物です。それが、バルジャンと出会い、関わっていく中で倫理観が変化し、揺らぎ、苦悩していく。でもバルジャンとは2人で1人、裏表のような関係ではないか、と思っています」

 小学校から大学まで学習院に通った。大学は経済学部でマーケティング研究に興味を持ち、大学院に進むことも考えた。もともと思考性が強く、「自分が心から打ち込めるのは何か?」を数え切れないほど自問自答するうち、東宝ミュージカルアカデミー(1期生)の門をたたいていた。本格的な俳優修業は大学を出てから。スタートは遅い。

 「大変でした。人前で芝居をし、歌うことに慣れる、というところから始めなければならなかったので。でも始めるのが遅かったぶん、吸収するものは人よりも、かなり多かったように思います」。1年間みっちりアカデミーに通う間に「役者としての覚悟」も自然と身に付いていた。はやり才能があったということだろう。

 「特に、歌は筋トレと似ていて。稽古をやればやるほど力が付くおもしろみがあります」。この約5年間、ミュージカルの世界でも注目されている韓国まで行き、歌のレッスンを受けることも続けている。「声の出し方ひとつから新鮮で勉強になります。教え方も本当にいろいろ。その中で何が自分に合うのか、と柔軟に考えられるようにもなりました」。

 ジャベール役で見せる伸びやかな声量、パンチの効いた歌唱技術からも、たゆまぬ努力がうかがえる。過去にさまざまな役者がジャベールを演じてきた。豪快さをまとった人、冷徹さの印象が強かった人…。学生役からはい上がってこの役をつかみ取った石井の演じ方は斬新に映る。与える繊細さが、苦悩の深さをより浮かび上がらせる。歴代の中でも評価は高い。

 29日で41歳。「まだまだ、いまも伸び盛りだと思ってやっていますよ」。ふだん話す声から美声の持ち主で取材中、笑顔が多かったのも印象的。躍進し続け、全国公演が終わるころ、どれほど役者として変貌を遂げているのか、楽しみにしたい。(内野 小百美)

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