レッドソックスの吉田正尚外野手が2日(日本時間3日)、明治初期に初めて日本に野球を伝えた故ホーレス・ウィルソン氏の故郷・メーン州ゴーラムを訪問し、同氏の生家で親族と対面。同日、南メーン大で在ボストン日本国総領事館主催による同氏の功績を称えるイベントが行われ、中日と近鉄に所属したラルフ・ブライアント氏(63)と、日米の野球交流について対談した。
異国でプレーするという共通の経験を持つ2人。ブライアント氏が「ドジャースのキャンプ中に、中日入団が決まった」と来日のきっかけを振り返ると、吉田は「メジャーでプレーすることがかねてからの夢だった。レッドソックスにいい評価を頂いて、多くの日本人選手がプレーした歴史のある球団でプレーしたいと思った」とこたえた。
言葉の壁や文化の違いに苦労した経験は、共通のもの。吉田は「時差を伴う移動や、球団数が多いので対戦する投手が多い。どの球団も抑え投手はすごい」と語り、ブライアント氏は「日本では電車で球場に通っていた」と懐かしそうに回想。「最初は生魚が食べられなかったが、勧められて食べてみたら、おいしかった」と、次第に食生活でも対応できたという。
イベントにはメーン州在住などのファン約100人が参加。故郷・福井で「すし吉正」を経営する吉田は、司会者から同州産の海産物の仕入れを勧められると「福井は新鮮な海産物がとれますが、検討します」と回答。場内から笑いと拍手が起こった。
◆ラルフ・ブライアント 1961年5月20日、米ジョージア州出身。外野手として1981年ドジャースに入団。1988年に中日を経て6月にトレードで近鉄に移籍。49本塁打を放って本塁打王となった1989年に近鉄のパ・リーグ優勝に貢献し、MVPを獲得。1995年を最後に帰国した。NPB通算259本塁打。2022年に北海道フロンティアリーグの士別サムライブレイズで監督を務めた。