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丸から「伝授したるよ」戸郷へ新変化球 ライバル球団エースの握り方「思ったより良かった」

スポーツ報知 2025年2月4日 5時20分

 巨人の戸郷翔征投手(24)が3日、“大瀬良カット”を解禁した。23年からカットボール習得を目指しながら実戦での使用は見送ってきたが、昨季中に同僚の丸から広島・大瀬良の握りを学んで再挑戦。球数減などのメリットが見込める新兵器を磨き、悲願の沢村賞へ向かっていく。

 直球のような軌道から、ボールがわずかに変化して捕手のミットに収まった。戸郷は“新兵器”の仕上がりを確かめながら、気持ちよさそうに右腕を振り抜いた。キャンプ2度目のブルペン入りで、完全習得を目指す新球・カットボールを3度試投し「思ったより曲がりも捕手の反応も良かった」。受けた捕手の岸田は「前より曲がり幅が小さくなって直球に近い」と証言した。

 23年から挑戦する球種だが、思うような曲がりが得られず実戦では封印してきた。転機は昨年9月ごろ。試合前には気分転換に多彩な変化球を含めて“投球練習”をすることで知られる丸が、広島・大瀬良から握り方を教わる場面を目撃。後日、東京Dで丸が試投するのを見て「カットボールいいですね、みたいな話から『じゃあ伝授したるよ』と。元をたどれば大瀬良さんのカットボールだった」。同僚野手から、コイのエースの最大の武器を手にしていたのだった。

 今後はオープン戦で試していく方針だが、持ち球に加われば2つのメリットが見込まれる。まずは「球数減」。昨季は26試合に登板して180回を投げ、総球数は両リーグトップの2828球。1試合平均、9イニングで換算すると約141球で、右腕も「球数も多い投手ですし」と自覚がある。「2、3センチ動けば、それだけで芯も外れる。本塁打性の打球が飛距離が落ちたりということもあると思う」と語ったように、小さな変化で凡打に封じて球数を抑えることも可能になる。

 もう一つは配球面での相乗効果だ。戸郷は宝刀・フォークを筆頭にスライダー、カーブなどを操るが、変化の曲がり幅が大きなものが中心。そこに小さな変化球が加われば、打者は狙いを絞りづらくなる。「一つ増えることでフォークへの警戒心が薄れる。(カットボールも)よりいいものになれば、打者の頭の中をもっと乱せると思う」と分析。杉内投手チーフコーチは「もう一個武器が増えるといいね」と、エースの進化に期待を寄せた。

 昨季まで3年連続で12勝をマーク。カットボールが武器となれば完投増につながることも見込め、今季目標に掲げる沢村賞と最多勝にも近づく。「タイトルに届かないのは何か原因があるのかなと思う。去年も(沢村賞と)言って取れなかったので、何か変えようと思って取り組んでいる。いいものになればと思います」。飽くなき探究心が、エースを突き動かしている。(小島 和之)

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