巨人のドラフト3位・荒巻悠内野手(22)=上武大=が圧巻の打球速度で存在感を示した。新人唯一1軍スタートのスラッガー候補は、岡本(巨人)、村上(ヤクルト)らに匹敵する打球速度170キロ以上を計時。初の実戦形式では早速、痛烈な安打性の当たりを放った。
弾丸のような打球が次々と室内練習場のネットに突き刺さった。強風と寒さのため木の花ドームで行われたフリー打撃。荒巻は強烈なスイングからすさまじい速さの当たりを広角に打ち分けた。キャンプイン後、第1クールから打球速度172キロをマークしていたことが判明。「全然まだまだです。そうでもないですよ」とサラリと言ったが、スケールの大きさが漂った。
繰り出す快音は一流打者レベルだ。184センチ、93キロの体格を誇る左のスラッガー候補は、フリー打撃などの打撃練習で170キロ台前半の数値を計測。球界屈指の強打者である岡本(巨人)や村上(ヤクルト)、万波(日本ハム)らに匹敵する数字をたたき出している。「自分の売りはバッティング。存分にアピールできたら」と意気込んでいた男は、宣言通りの持ち味で存在感。広島・岩本スコアラーは「実際の試合になったらどういう打撃をするのか注目したい」と警戒心を強めた。
初の実戦形式でも早速、その打棒を発揮した。ライブBP(実戦形式の打撃練習)で堀田と対戦。プロ入り後初めてプロの投手を相手にした中、5スイング目に真ん中高めの直球を捉え、中堅方向に痛烈なライナー性の一撃を放った。室内で守備位置に選手がいない状況ではあるが、中前安打となっていたであろう打球で“プロ初安打”。最終的には9スイングで安打性の当たりを2本放ち、「自分のスイングができたところもあった」とうなずいた。
豪打の礎は大学時代にある。上武大に入学後から徐々に使用するマスコットバットを重くして打撃練習。最終的には約1・5キロのバットで振り込むようになった。「だんだん重くなっていきました。自分の形やスイングを固めるためにやっていた」。強烈な打球を繰り出すパワーと安定したフォームが自然と身についた。
第1クールが終了し、手はマメだらけだが充実感がにじむ。「紅白戦の前に投手の球を見られて良かった。ここから実戦がどんどん入ってくると思うので頑張っていきたい」。無限の可能性を秘めた大砲候補が持ち味の打撃で開幕1軍の道を切り開く。(宮内 孝太)
◆荒巻悠アラカルト
▽生まれ 2002年12月23日、福岡・久留米市。22歳
▽サイズ&投打 184センチ、93キロ 右投左打
▽球歴 祐誠(福岡)では1年夏からレギュラーで、高校通算37本塁打。上武大では1年春のリーグ戦から出場し、公式戦10本塁打。リーグ戦では推定140メートル弾も
▽地元愛 入寮時に着ていたスーツには、ジャケットの裏地に「久留米愛」と刺しゅう。グラブの内側にも方言で「調子に乗るな」という意味の「にやがんな」と刺しゅうした
▽趣味 サウナ。「限界まで入った後の水風呂、外気浴は疲れが飛ぶ」
▽座右の銘 「やられたらやり返す」