柔道のグランドスラム(GS)パリ大会に出場した日本勢が4日、羽田空港に帰国した。国際柔道連盟(IJF)は昨年12月に、2028年ロサンゼルス五輪に向け、17年から廃止の「有効」が復活となるなどの新ルールを発表。GSパリ大会が初適用だった。
ポイントが細分化されたことにより、「一本」からはほど遠い「技あり」が取られるような場面が減ることになりそう。男子日本代表の鈴木桂治監督は「僕は十分、いいルール変更になっているんじゃないかなと思います。今までは技ありが2回重なると(合わせ技一本で試合が)終わっちゃうんですよね。お互いさまですが、有効があることで命拾いをする。有利かどうかという言葉が適切かはわからないですが、勝機は十分にあると思います」と感想。また、抑え込みは5秒で有効ポイントが入ることになった。「寝技は女子が徹底して今までやってきたところだと思うんですが、男子にもチャンスはあるな、と。最重量級、100キロ級ぐらいまでは。通用するんじゃないかな、というのは感じました」と語った。
一方、立ち姿勢で相手の袖口に指を入れて組み手を取ることや、帯から下をつかむ行為が脚の付け根のラインまでならば認められるなど、罰則が一部緩和された。これについて鈴木監督は「袖口に関しては、日本選手の方が厳しいと思います。今回も全く切れない選手がたくさんいたので。腕力に関しては、外国勢の方が少し分があるのかなと感じました」と分析。「何が良くて、何が悪いというのは何とも言えないです。日本に有利にルールを作っているとも思いませんし、不利に作っているとも思っていません。よりおもしろく、ダイナミックに、ファン目線での柔道というものを考えているという意味では、みんな平等だと思います」などと述べた。
女子は48キロ級の近藤美月(東海大)、52キロ級の大森生純(JR東日本)、63キロ級の嘉重春樺(ブイ・テクノロジー)が優勝した。大森は「自分の中で新ルールでも勝てるような練習をしてきて、それを試合で持ち込めました。指導に関しては、試合の中で驚きなどもあったのですが、自分にとっては新ルールがいいように働いたかなと思います」と適応に自信をうかがわせていた。