元タレント・中居正広氏(52)と女性トラブルに端を発したフジテレビを巡る問題で、フジ・メディア・ホールディングス(HD)株式を7%以上保有する米投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」が4日、公式サイトを更新し、3日付で同局取締役相談役の日枝久氏(87)の辞任を求める書簡を送付したことを明らかにした。
一連の事態を受けて、同社は、港浩一氏らの辞任について一定の評価を示しながらも「残念ながらこれらの方々の辞任だけではスポンサーは戻ってきてくれません。(スポンサー、視聴者の信頼を回復するには)日枝久氏がFMH(フジ・メディアHD)およびフジテレビの取締役を辞任すること」と辞任を要求した。
さらに「なぜたった1人の独裁者がこの巨大な放送グループを、40年近くも支配することが許されてきたのでしょうか。信じ難いことです」と痛烈に批判。「第三者委員会の調査結果を待つことなく、スポンサーの離脱による損失が拡大する前に、打つべき手を打たなければなりません」とした。
日枝氏はこの日、共同通信の取材に応じ、自身の進退について「会社が決めることで、ここで言う話ではない」と語った。日枝氏はフジサンケイグループ代表も務め、経営や人事に大きな影響力を持つとされるが、一連の問題発覚後、公の場では発言していない。書簡については「知りません」と回答した。
会社法第339条第1項によると、取締役は株主総会の決議によって解任することができる。決議は、議決権の過半数を保有する株主が出席し、出席株主の議決権の過半数を得られれば解任できる。
一方、フジ・メディアHDの社外取締役7人で構成する「経営刷新小委員会」のメンバーで文化放送の斎藤清人社長はこの日、経営体制の立て直しやガバナンスの確保、人事の透明性の担保などを求める議案を同委員会として「できれば本日中(4日)」にフジ側に提案し、それを話し合う臨時取締役会を「可能であれば来週中に開いてもらいたい」と述べた。
同委員会では今後、現経営陣へのヒアリングも検討し、日枝氏も対象になるという。ダルトンによる日枝氏の辞任要求について、斎藤氏は「現時点では」と断った上で「委員会が歩調を合わせることは想定していない。日枝相談役の知見を生かしていく必要があると思っている」とした。